日本の高配当株に投資して、毎年、配当をもらい生活する。
配当収入は誰もがあこがれる不労所得ですよね。
最近は、米国株投資も人気ですが、日本株は
- 為替リスクが無い
- 配当控除がある
- 企業情報が得られやすい
などのメリットもあり、日本で生活するなら考えておきたい投資先の1つです。
でも、銘柄選びは難しいですよね。
せっかく高配当株に投資しても
- 減配して配当が無くなる
- 株価が下がり含み損
など、銘柄選びに失敗すると長期で収入が得られなくなります。
個別銘柄を選ぶ投資は、財務状況や将来性など様々な指標を考慮する必要があり難しい。
ネット上には色々な情報があり、何が良いのか迷います。
そんな中、私が高配当株投資を9年以上行い、自分に合った投資方針を考えてみましたので紹介します。
- 売上、利益が上昇傾向
- 減配しない企業
- 将来性も考える
高配当株をスクリーニング
日本で上場している株式は、3000銘柄以上ありますので、1つ1つ調べるのは大変です。
ある程度、数を絞ってから詳細を見ていくのが良いと思いますが、何で絞ると良いのでしょうか。
検討対象を数十銘柄に絞る方法を見てみます。
利回りで絞る
高配当株とは利回りの高い株のことを言います。
高配当株への投資ですから、まず、利回りの高い銘柄を選ぶ必要があります。
どの位の利回りなら高配当と言えるのでしょうか。
参考として、日本の高配当株ETFの利回りを調べてみました。
コード | 高配当株ETF | 純資産総額 | 分配金利回り |
---|---|---|---|
1478 | iSMSCI高配当 | 348億円 | 3.31% |
1489 | NF日経高配当50 | 562億円 | 4.58% |
1494 | One・高配当日本株 | 198億円 | 3.26% |
1577 | NF日本株高配当70 | 773億円 | 3.77% |
1651 | 大和高配当40 | 217億円 | 3.01% |
1698 | 上場配当 | 122億円 | 3.52% |
2564 | GXスーパーディビ | 205億円 | 4.69% |
引用元:日本取引所グループ(JPX)ETF銘柄一覧より(2022年9月30日時点)
7つの高配当株ETFの利回りは約3.0%~4.7%、平均で約3.7%です。
概ね3%以上の利回りがあれば、高配当株と言えるのではないでしょうか。
実際の購入時には、もう少し高い利回りを狙いたいところですが、増配する可能性も考えて、まずは、利回り3%以上で絞るのが良いと思います。
時価総額で絞る
種類 | 条件 | 時価総額(概算) |
---|---|---|
大型株 | 時価総額上位100社 | 1.5兆円以上 |
中型株 | 時価総額上位101~500社 | 2000億円以上 |
小型株 | 時価総額上位501社~ | 2000億円以下 |
(2022年5月29日時点)
株式は、時価総額の規模により、大型株、中型株、小型株に分類されます。
時価総額は、「株価」×「株式発行数」で計算され、上位100社を大型株、101~500社を中型株、それ以外は小型株となります。
- 知名度があり情報が豊富
- 高配当、低成長の企業が多い
- 多くの投資家の評価により市場価格が適正
という特徴があり、安定した企業が多いです。
- 数が多く、優劣が混在している。
- 企業情報が少なく割安な放置銘柄もある
- 流動性が低く、値動きも激しい
という特徴があり、小型になるほど、この傾向が強くなります。
どこまでの小型株を取り込むかは、個人の考え方によるため、正解はありません。
1つの目安としては、1000億円以上で絞るのが良いと考えています。
利回り3%以上、時価総額1000億以上でスクリーニングすると約260の企業を抽出することが出来ました。(2023年5月時点)
まずは、ここから銘柄を選定し、ある程度のポートフォリオが完成したら、さらに小さい小型株を検討するのが良いと思います。
業種で絞る
高配当株投資は、複数の銘柄に分散するのが基本です。
銘柄も分散しますが、業種も分散しなくてはなりません。
業種ごとに企業の特徴が変わりますので、業種単位で銘柄を選定するのが良いと思います。
<東証株価指数の33業種>
水産・農林業 | 鉱業 | 建設業 | 食料品 | 繊維製品 |
パルプ・紙 | 化学 | 医薬品 | 石油・石炭製品 | ゴム製品 |
ガラス・土石製品 | 鉄鋼 | 非鉄金属 | 金属製品 | 機械 |
電気機器 | 輸送用機器 | 精密機器 | その他製品 | 電気・ガス業 |
陸運業 | 海運業 | 空運業 | 倉庫・運輸関連業 | 情報・通信業 |
卸売業 | 小売業 | 銀行業 | 証券・商品先物取引業 | 保険業 |
その他金融業 | 不動産業 | サービス業 |
東京証券取引所の区分は33業種に分かれています。
利回り3%以上、時価総額1000億以上で抽出すると、各業種で0~40銘柄程度に絞ることが出来ます。
12~20業種を選び、それぞれの業種で高配当株を探しましょう。
高配当株投資で組み入れられて代表的な業種は
- 銀行業
- 情報・通信業
- 卸売業
の3つです。
まずは、これらの業種で高配当株を選定し、サービス業や保険業、その他金融業などに広げて行くと良いと思います。
財務状況を確認する
スクリーニングにより、銘柄数が絞れたら、次は、企業の財務状況を確認します。
財務状況は、直近の状況が良いかでは無く、過去からの推移を見ていきます。
成長を続け、配当の余力があり、株主還元に積極的な企業が高配当株投資には最適です。
利益が長期で上昇傾向
企業の財務状況を判断する場合、営業利益率や自己資本利益率(ROE)を見る場合も多いのですが、これらは基準が不明確です。
利益率は業種により基準が違い、単純に比較しても、正確な財務状況を判断することはできません。
企業にとって大切なことは、常に成長し続けることであり、これにより、安定した配当や物価上昇に負けない増配をもたらします。
ですので、財務状況の確認は、過去の推移を見て、安定的に成長しているかを確認します。
具体的には
- 営業収益
- 営業利益
- 1株純利益(EPS)
が上昇傾向である企業を選びます。
きれいな右肩上がりが一番良いですが、多少増減があっても、営業収益や利益の5年成長率や10年成長率がプラスの企業を選びましょう。
引用元:IR_BANKのデータをもとに作成
KDDI(9433)の営業収益や利益の推移を示したグラフです。
KDDIは高配当株投資で、必ず出てくる優良企業ですが、増減が少なく、安定的な右肩上がりになっていますね。
配当性向が低い
配当性向は、利益をどの程度、配当に回しているかを示す指標です。
企業は利益を株主への配当に当てるか、更なる成長のために投資に使うかを決めています。
配当性向が低い企業は、配当は少なくなりますが、成長の為に利益を使っているため、増配の可能性が高く、良い企業です。
逆に配当性向が高い場合は、成長性が小さく、配当を増やす余力も無いということになります。
一時的な要因を除いて、配当性向が50%以下で推移している企業を選ぶと良いでしょう。
配当が増えている
高配当株の魅力の1つは、購入後の増配により、利回りが上がっていくことです。
配当を増やすかどうかは、業績の他、企業の配当方針によっても異なります。
日本企業の配当方針は、大きく2つ、
- 業績に応じて、配当を増減させる企業
- 業績に多少変化が合っても減配しない企業
業績に応じた配当を出す企業は、財務に忠実な企業であり、経営的には良いと思います。
しかし、株主は、業績の変化を企業側で吸収して、配当を減らさない企業を選びたいのが本音ですよね。
世の中には減配しないこと(累進配当)を明言している企業もあります。
このような企業の株主は、安定した配当を受け取ることができます。
- 伊藤忠商事(8001)
- 三井物産(8031)
- 三菱商事(8058)
- 三井住友FG(8316)
(2022年5月時点)
明言しなくとも、過去の配当状況を確認し、減配が無い企業を選ぶと良いでしょう。
なお、配当の推移を確認する場合は、
- 記念配(創立記念など特別な配当)
- 特需による一時的な配当
などの特別な要因を省いて考えるのが基本です。
将来性を確認する
配当利回りが高く、財務状況も良い銘柄が選定できたら、最後に将来性を確認します。
企業はどんな事業で収益を上げているのか。
その事業で収益を継続、拡大させることが可能かを判断します。
事業内容を見る
企業の事業内容や将来計画を確認する場合、直近の決算説明資料を見ると良いでしょう。
まず、どのような事業で収益を上げているか、事業セグメントを確認します。
大きな企業は複数の事業があり、イメージとは違う事業で収益を上げている場合もあります。
例えば、オリックス株式会社(8591)の事業セグメントは次の通りです。
No | セグメント | 詳細 |
---|---|---|
1 | 法人営業・メンテナンスリース | 自動車や電子計測器・ICT機器などのリースやレンタル |
2 | 不動産業 | 開発・賃貸・管理 |
3 | 事業投資 | IT、物流、レンタル、酪農、ヘルスケア企業への投資 |
4 | 環境エネルギー | 再生可能エネルギービジネス |
5 | 保険 | オリックス生命 |
6 | 銀行・クレジット | オリックス銀行 |
7 | 輸送機器 | 航空機リース |
8 | ORIX USA | クレジット、不動産及び事業投資 |
9 | ORIX Rurope | 株式・債券や再生可能エネルギー等ファンド運用 |
10 | アジア・豪州 | 金融・投資 |
オリックスの事業は、リース事業、金融サービス、環境エネルギーなど多岐にわたります。
決算説明資料を見て、
- どんな事業を行っているか
- 今後、どの方向に進む方針か
- 世の中の潮流に合っているか
を確認し、将来性を判断しましょう。
ESG(環境、社会、ガバナンス)や少子高齢化、ITなど、社会の変化に沿った事業を行う企業を選ぶことが大切です。
海外展開を見る
日本の人口は将来に渡り減少していきます。
成長する企業は成長している国で事業を行うことが必須であり、海外展開はかかせません。
また、複数の国で事業を行うことは、国際分散になり、リスクを抑える効果もあります。
- 経済大国の米国、中国
- 成長が期待されるアジア諸国
- 人口増加率の高いアフリカ諸国
など、成長している国へ事業を展開している企業は、将来の成長が期待できます。
高配当株の選び方
- 利回り・業種・規模でスクリーニング
- 利益や配当が増えている、配当性向も低い
- 事業内容や海外展開で将来性を図る
高配当株の選び方を解説しました。
利回り3%以上、時価総額1000億以上で12~20業種を選び銘柄を抽出する。
過去の財務状況を確認して、利益や配当が増えており、配当性向が50%以下の銘柄を選ぶ。
直近の決算資料を見て、事業内容や海外展開など、世の中の流れに合った銘柄に決める。
これらの選び方を実践し、30~50銘柄で、高配当株ポートフォリオを構成すれば、安定した不労所得を得られると思います。
私もまだまだ、道半ばですが、タイミングを見て少しずつ銘柄を増やしていきたいと思います。
以上、参考になれば幸いです。
実際の高配当株の選び方はこちらです。
【高配当株の探し方】情報通信業のセクター(業種)で銘柄を選ぶ
好業績なのに割安な株を見つける。
これができれば高配当株投資を成功することができますね。
どのような株をねらうと良いかわかりやすく解説した本です。