高配当株に投資して配当収入で暮らす、あこがれますよね。
安定した配当収入を得るためには、数十の銘柄を保有して、リスクを分散する必要があります。
また、景気の影響は業種単位で受けることが多く、複数のセクター(業種)に投資することも大切です。
高配当株にはどんな業種が必要ですか
長期投資の基本は成長している分野に投資することです。
安定した配当を得るためには、景気に左右されない業種を選びも重要です。
これらを考えると、第一に浮かぶのは情報通信業ではないでしょうか。
情報通信サービスは
- 技術革新が進む成長分野
- あらゆる産業に関わるインフラサービス
- 政府も力を入れる国策領域
など、投資対象としては外せない業種です。
情報通信業の中から優良な高配当株を見つけることができれば、増配も見込める良い資産になると思います。
高配当株の投資歴8年の私が実践している方法で、情報通信業の高配当株を探してみます。
- スクリーニングで対象を絞る
- 利益や配当が増えている
- 事業内容が将来有望
高配当株をスクリーニング
情報通信業の上場企業は500社以上あります。
1つ1つの企業情報を調べることは膨大な時間がかかり大変ですよね。
まずは、対象を絞るところから始めます。
- 情報通信業
- 配当利回り3%以上
- 時価総額1000億以上
で銘柄を絞ってみます。
スクリーニングサイトを使う
銘柄スクリーニングは、証券会社のWebサイトで準備されていますが、これらは口座開設している方しか使えません。
ネット上で無料公開されている中ではバフェット・コードが使いやすく、おすすめです。
今回は、バフェット・コードのスクリーニング機能を使い銘柄を絞ってみます。
まず、サイトにアクセスして、左上の条件検索をクリックします。
すると、銘柄のスクリーニングができるページに移ります。
条件を設定する
銘柄のスクリーニングページが開いたら、各種条件を設定して行きます。
まず最初に検索対象のラジオボタンがありますが、ここは日本のままとします。
初期値で、売上高となっている部分のプルダウンを開き、配当利回り(会予)を選びます。
配当利回りには(実績)もありますが、これは過去の実績ですので、これから購入する銘柄を選ぶ場合には将来予想値の方が良いでしょう。
選択が完了したら、右側に3を入力します。
配当利回り3%以上の条件設定が完了しました。
次に時価総額の条件を設定するため、条件の追加をクリックします。
すると、条件選択欄が追加されますので、プルダウンから時価総額を選びます。
そして、右の窓に100000百万円(1000億円)を設定します。
最後に、業種を情報通信業に絞るため、業種を選択するをクリックします。
業種は初期値で全ての業種にチェックが入っていますので、すべてチェックを外してから情報・通信業のみを再チェックします。
これで全ての条件設定が完了しましたので、最後に検索ボタンをクリックします。
スクリーニング結果
2022年6月11日にスクリーニングを実施した結果、次の10銘柄に絞られました。
コード | 会社名 | 配当利回り (会社予想) | 時価総額 (百万円) |
---|---|---|---|
4676 | フジ・メディアHD | 3.4% | 259,770 |
4768 | 大塚商会 | 3.1% | 757,456 |
8096 | 兼松エレクトロ二クス | 3.9% | 114,022 |
9412 | スカパーJSATHD | 3.6% | 145,730 |
9432 | 日本電信電話 | 3.0% | 13,956,785 |
9433 | KDDI | 3.0% | 9,941,820 |
9434 | ソフトバンク | 5.9% | 6,919,733 |
9435 | 光通信 | 3.6% | 630,775 |
9436 | 沖縄セルラー電話 | 3.2% | 144,631 |
9682 | DTS | 3.9% | 140,167 |
だれもが知っている巨大企業から、特定の分野で活躍する企業など様々ですね。
財務状況を確認する
スクリーニングにより銘柄が絞れたら、次は、企業の財務状況を確認します。
- 利益が長期で上昇しているか
- 配当は増えているか
- 配当性向が低いか
バフェット・コードでスクリーニングした結果から会社名をクリックすると企業概要が表示されます。
利益が長期で上昇しているか
バフェット・コードの企業概要には、10年前からの利益推移が表示されます。
徐々に利益が増えている企業が良いと思いますが、○○ショックや一時的な要因などで、利益が増減する場合もあります。
上昇傾向の判断は難しいですが、
- 利益がマイナスの年が無い
- 10年前に比べ、現在の利益の方が高い
などを見て判断すると良いと思います。
(日本電信電話(4134)の利益推移)
引用元:バフェット・コードのグラフをもとに一部加筆
配当は増えているか
日本の企業には、2つの配当方針があります。
- 利益に応じて配当を増減させる企業
- 利益の変動があっても減配しない企業
高配当株で安定した配当収入を得たいなら減配しない企業に投資したいですよね。
過去に減配が無く、年々配当が増えている企業を探します。
(KDDI(4133)の配当推移)
引用元:バフェット・コードのグラフをもとに一部加筆
配当性向が低いか
配当性向は、利益の中からどのくらい割合で配当を出しているかを示す指標です。
利益は配当の他に、企業が成長するための投資にも使われます。
世の中の技術は進歩しており、これを取り入れ成長しなければ、いずれその企業は衰退することになるでしょう。
ですので、配当性向が高い企業は避けるのが無難です。
配当性向50%以下を目安に探します。
財務状況を確認した結果
コード | 会社名 | 利益が右肩上がり | 配当が増えている | 配当性向 |
---|---|---|---|---|
4676 | フジ・メディアHD | × | × | 34.0% |
4768 | 大塚商会 | ○ | ○ | 57.0% |
8096 | 兼松エレクトロ二クス | ○ | ○ | 50.5% |
9412 | スカパーJSATHD | × | △ | 35.8% |
9432 | 日本電信電話 | ○ | ○ | 34.5% |
9433 | KDDI | ○ | ○ | 41.2% |
9434 | ソフトバンク | ○ | △ | 78.2% |
9435 | 光通信 | ○ | ○ | 25.4% |
9436 | 沖縄セルラー電話 | ○ | ○ | 42.3% |
9682 | DTS | ○ | ○ | 40.2% |
バフェット・コードのデータをもとに
- 利益が長期で上昇傾向か
- 配当は増えているか
- 配当性向が低いか
を見てみました。
2022年6月時点で、条件を満たすのは
- 日本電信電話(9432)
- KDDI(9433)
- 光通信(9435)
- 沖縄セルラー電話(9436)
- DTS(9682)
の5社となります。
将来性を確認する
高配当で財務状況が良い銘柄を選んだら、最後に事業内容を確認します。
- 事業内容に成長性を感じるか
- 世の中の潮流とあっているか
- 海外の成長力を取り込んでいるか
を見ていきます。
日本電信電話株式会社(9432)
日本を代表する巨大企業、NTTグループです。
次の5つの事業を展開しています。
- 携帯電話関連事業
- 地域通信サービス
- 長距離、国際通信サービス
- システムインテグレーション
- その他(不動産、金融、電力他)
通信インフラを構築してサービスを提供するストック型の事業。
情報通信分野で最先端の研究開発も行っており、常に成長を続ける巨大企業グループ。
株式の約3分の1は国が保有しており、国策企業の1つです。
KDDI株式会社(9433)
KDDIは、NTTと並ぶ情報通信企業です。
主に次の事業を展開しています。
- モバイル事業
- 固定通信
- ライフデザインサービス
- ICTソリューション
- データセンター
- その他(設備建設・保守、研究開発)
NTTと同じく、通信インフラを基盤としたサービスを展開するストック型の事業。
情報通信を通じて、様々なサービスを展開。
海外62都市に100拠点以上を展開するグローバル企業です。
株式会社光通信(9435)
他社商品の取次や自社商品の販売後に使用料を徴収するストック事業を展開しています。
取り扱い商材、サービスは次の通りです。
- インターネット回線
- 電力
- 業種別ITソリューション
- 宅配水
- コンテンツ(各種付帯商品)
- 携帯電話、保険、OA機器
情報通信から電力、商品まで幅広く販売して使用料を得るストック型事業。
特定の対象に限定せず幅広い業種に対応(法人顧客数は約100万社)。
約1000社の代理店を抱え、日本国内で事業を展開しています。
沖縄セルラー電話株式会社(9436)
KDDI傘下の総合通信会社です。
主な事業は次の通り。
- モバイル事業
- FTTH
- ライフデザインサービス
通信インフラを整備しサービスを提供するストック型事業。
KDDIと同じ事業を沖縄県で展開。
沖縄県内の携帯電話のシェアは約5割です。
株式会社DTS(9682)
情報サービス業の大手企業、通信向けソフト開発に強みを持っています。
主な事業は次の通り。
- 情報システム導入コンサルティング
- システムの設計、開発、運用、保守など
- 自社開発ソリューションの導入、運用、保守
- ITインフラのシステム運用診断、最適サービス
- システム機器販売など
金融や公共、各種法人に対しサービスを展開。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の対応力を強化。
中国、インド、ベトナム、アメリカに拠点を持つ。
2023年度は創立50週年の記念配当が予定されているため、配当利回りが高くなっています。
情報通信業の高配当株を選ぶ
- 利回り3%、時価総額1000億で対象を絞る
- 利益や配当が増えており配当性向50%以下
- 事業内容が将来有望、海外展開も有り
情報通信業の高配当株を探してみました。
2022年6月10日時点では、
- 日本電信電話株式会社(9432)
- KDDI株式会社(9433)
- 株式会社DTS(9682)
の3社が優良な高配当株に見えます。
ただし、DTSは、一時的な記念配当を予定しており、普段の配当利回りは3%以下です。
一時的な要因を除いて、利回りが3%以上になるなら高配当株の仲間入りですね。
以上、参考になれば幸いです。
銀行業の高配当株についてはこちらで紹介しています。
【高配当株の探し方】銀行業のセクター(業種)で銘柄を選ぶ
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