株式投資では、銘柄や業種(セクター)の組み合わせのことをポートフォリオと呼んでいます。
高配当株で安定的な配当収入を得る場合、複数の銘柄に分散してポートフォリオを作るのが大切です。
でも、
- どのくらいの銘柄数が必要か
- いくつの業種(セクター)に分散するか
- どんな業種(セクター)が必要か
など、悩む方も多いと思います。
私の高配当株は23銘柄で11業種に分散されています。
まだ、少ないと思っていますが、適正な銘柄数というものがあるのでしょうか。
業種(セクター)の数や種類についても知りたいですよね。
東京証券取引所に上場されている高配当ETFのポートフォリオをもとに、日本の高配当株投資で必要な銘柄数や業種などを考察してみます。
・まずは23銘柄以上
・12業種以上に分散
・卸売、銀行、情報通信が必要
日本の高配当ETF
証券 コード | ETF名称 (略称) | 銘柄選定概要 | 純資産総額 | 分配金 利回り |
---|---|---|---|---|
1478 | iSMSCI高配当 | 中・大型株で配当継続性や配当性向、財務基準を満たし、 MSCIジャパン指数の配当利回りの130%超える銘柄 | 726億円 | 1.97% |
1489 | NF日経高配当50 | ⽇経平均構成銘柄(225銘柄)のうち 配当利回りの⾼い50銘柄 | 1,783億円 | 3.30% |
1494 | One・高配当日本株 | 東証一部上場の時価総額500億以上、一定の流動性を持ち 過去10年以上増配または配当を維持する銘柄 | 335億円 | 2.80% |
1577 | NF日本株高配当70 | 今期の予想配当利回りが高い日本株70銘柄 過去3年間に経常利益がマイナスの銘柄を除外 | 1,048億円 | 3.14% |
1651 | 大和高配当40 | TOPIX100(大型株)の中から 直近1年間の配当実績が高い40銘柄 | 416億円 | 1.90% |
1698 | 上場配当 | TOPIX1000及び東証REIT指数の銘柄(3,6,9,12月決算) のうち、時価総額、予想配当利回りの上位100銘柄 | 349億円 | 2.91% |
2564 | GXスーパーディビ | MSCI Japan IMI Index(時価総額400億円以上の株や J-REIT)から流動性や配当継続性を考慮して25銘柄を選定 | 738億円 | 3.73% |
(2024年1月31日時点)
日本取引所グループ(JPX)のETF銘柄一覧から高配当の日本株に投資するETFを選んでみました。
全部で7つの高配当ETFが上場されています。
それぞれのETFは、主に中大型株の中から増配や配当実績、継続性などを考慮して、銘柄が選定されています。
- 1698 上場配当
- 2564 GXスーパーディビ
の構成銘柄の中にJ-REITも含まれていますね。
必要な銘柄数
日本の高配当ETFは、どの位の銘柄数で構成されているのでしょうか。
それぞれのETFの請求目論見書に個別の投資先が記載されていますので、調べてみました。
高配当ETFの構成銘柄数
証券 コード | ETF名称 (略称) | 構成銘柄数 (株) | 構成銘柄数 (J-REIT) | 基準日 |
---|---|---|---|---|
1478 | iSMSCI高配当 | 39 | ー | 2024年3月31日 |
1489 | NF日経高配当50 | 48 | ー | 2024年3月29日 |
1494 | One・高配当日本株 | 50 | ー | 2024年3月29日 |
1577 | NF日本株高配当70 | 70 | ー | 2024年3月29日 |
1651 | 大和高配当40 | 40 | ー | 2024年3月29日 |
1698 | 上場配当 | 90 | 10 | 2024年3月31日 |
2564 | GXスーパーディビ | 23 | 2 | 2024年3月29日 |
高配当ETFの構成銘柄数は、23~90銘柄(J-REITを除く)です。
平均すると1つのETFあたり、約50銘柄になります。
個人投資家が目指す銘柄数
ETFは多くの投資家から資金を集めるため、多数の銘柄に分散投資できます。
しかし、個人投資家は資金力に限界がありますので、ETFのように多くの銘柄に分散することが難しいですよね。
- 高配当株ETFの最低銘柄数は23
- 7つのETFの平均は約50銘柄
を考えると、個人投資家が高配当株ポートフォリオを組む場合には、23~50銘柄で揃えるのが良いのではないでしょうか。
必要な業種(セクター)
企業には様々な業種があります。
農林水産業や建設業、サービス業など、様々。
株式投資を行う場合には、一般的に東証株価指数33業種で考えて行きます。
<東証株価指数33業種>
水産・農林業 | 鉱業 | 建設業 | 食料品 | 繊維製品 |
パルプ・紙 | 化学 | 医薬品 | 石油・石炭製品 | ゴム製品 |
ガラス・土石製品 | 鉄鋼 | 非鉄金属 | 金属製品 | 機械 |
電気機器 | 輸送用機器 | 精密機器 | その他製品 | 電気・ガス業 |
陸運業 | 海運業 | 空運業 | 倉庫・運輸関連業 | 情報・通信業 |
卸売業 | 小売業 | 銀行業 | 証券・商品先物取引業 | 保険業 |
その他金融業 | 不動産業 | サービス業 |
法律や規制の変更、経済状況などは業種単位で影響を受けることも多く、安定したポートフォリオを築くためには、業種を分散することが大切です。
高配当ETFの業種(セクタ)数
証券 コード | ETF名称 (略称) | 構成業種 (セクター)数 | 参照した 請求目論見書 |
---|---|---|---|
1478 | iSMSCI高配当 | 17 | 2023年7月31日 |
1489 | NF日経高配当50 | 22 | 2023年10月31日 |
1494 | One・高配当日本株 | 18 | 2023年10月31日 |
1577 | NF日本株高配当70 | 23 | 2023年10月31日 |
1651 | 大和高配当40 | 19 | 2023年8月31日 |
1698 | 上場配当 | 25 | 2024年1月31日 |
2564 | GXスーパーディビ | 15 | 2024年1月31日 |
7つの高配当ETFの構成業種(セクター)数は、15~25業種です。
平均すると1つのETFあたり、約20種(セクター)になります。
高配当ETFの業種(セクター)比率
7つの高配当ETFの業種(セクター)構成比率を調べてみました。
7つの高配当株ETFの中で構成比率の高い業種は、次の3つ。
- 銀行業
- 卸売業
- 建設業
銀行業は、5つのETFで構成比率が2位以内となっており、高配当株ポートフォリオでは必須の業種(セクター)と言えます。
卸売業は、三菱商事や三井物産などの総合商社が中心
建設業は、建物から橋や鉄道などのインフラまで、幅広い裾野がある業種ですね。
個人投資家が選ぶ業種(セクター)
多額の資金を運用するETFであれば、多くの業種(セクター)に分散して、リスク低減することが可能です。
しかし、個人投資家には限界がありますので、少し効率化を図る必要があります。
業種(セクター)の分散については
- 最も少ない高配当株ETFは15業種
- 7つのETFの平均は20業種
を考えると、個人投資家が高配当株ポートフォリオを組む場合には、15~20業種(セクター)に分散するが良いと思います。
必要な業種(セクター)は、銀行業、卸売業、建設業に加え、
- 海運業
- 保険業
- 輸送機器
なども、高配当ETFでの構成比率が大きい業種です。
なお、銀行業などの金融系は、金利が上昇すると利益が増えます。
一方、他の業種では、金利が上昇すると借入金の利息が増えるため、利益が下がります。
そのため、金融系と他の業種の利益は金利の変動に対し逆の動きをします。
これを逆相関があるといいます。
金利は景気に応じて変化するため、逆相関がある業種を組み合わせると景気変動に強いポートフォリオを作ることができますね。
金融系の業種をうまく組み合わせて、業種(セクター)分散を図ると良いと思います。
高配当株ポートフォリオの作り方
- 23~50銘柄で構成
- 15~20業種(セクター)に分散
- 銀行、卸売、建設業を入れる
日本の高配当株ETFのポートフォリオを参考にして、高配当株ポートフォリオの作り方を考察しました。
銘柄数は最低23銘柄、目標は50銘柄です。
業種(セクター)は、15~20業種で分散します。
銀行業、卸売業、建設業が必須で、海運業や保険業、輸送用機器などのセクターからも銘柄を選ぶと良いでしょう。
高配当株は、購入タイミングもありますので、少しづつ増やしていきたいですね。
以上、参考になれば幸いです。
各セクターの高配当株の探し方を紹介しています。
【高配当株の探し方】卸売業のセクター(業種)で銘柄を選ぶ
【高配当株の探し方】情報通信業のセクター(業種)で銘柄を選ぶ
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