不動産投資と言えば、アパートやマンションを思い浮かべる方も多いと思います。
個人が不動産に投資する場合は、マンションなどを購入して、大家さんとして賃料を得る場合がほとんどですよね。
同じ不動産投資でも、J-REITの場合は多くの投資家から資金を集め、専門の法人が不動産を購入します。
この場合は、住宅に限らす様々な不動産に投資することが可能です。
どんな不動産に投資しているのでしょうか。
J-REITは主に5種類の不動産に投資しています。
- オフィス
- 物流施設
- 商業施設
- 住宅
- ホテル
それぞれの不動産は、用途や利用者が違いますので、収益性についても特徴が異なります。
J-REITに投資する場合は、保有する不動産の種類を知り、内容を見極めることが大切です。
投資歴6年の筆者が、J-REITの保有する不動産の特徴について紹介します。
- メインの投資先はオフィス
- 安定した収益は住宅と物流施設
- 将来的には老人ホームなども
J-REITの投資先
(2022年11月時点)
J-REITの主な投資先は、オフィス、物流施設、商業施設、住宅、ホテルの5つです。
一番比率が高いのは、オフィスで全体の約40%となっています。
続いて、物流施設19%、商業施設16%、住宅14%、ホテル8%と続きます。
各不動産の物件数と1物件あたりの取得金額は次の通りです。
不動産種別 | 物件数 | 1物件の平均取得価格 |
---|---|---|
オフィス | 1,030 | 8,385 百万円 |
物流施設 | 496 | 8,725 百万円 |
商業施設 | 569 | 6,131 百万円 |
住宅 | 1,923 | 1,631 百万円 |
ホテル | 313 | 5,211 百万円 |
その他 | 211 | 2,824 百万円 |
合計 | 4,542 |
(2022年11月時点)
物件数は住宅が多く、全体の42%を占めています。
1物件あたりの規模が大きいのは物流施設で、高層ビルなどもあるオフィスの規模も大きくなっています。
逆に規模が小さい不動産は住宅です。
それでも1物件あたりの取得価格は約16億円ですので、個人が行う不動産投資とは規模が違いますね。
不動産証券化協会のサイトにある統計データを用いて表・グラフを作成しました。
5種類の不動産とその特徴
J-REITの主要な投資先である5種類の不動産はそれぞれ特徴が異なります。
また、同じ種類の不動産でも規模や用途により違いがあります。
それぞれの不動産について詳しく見て行きます。
オフィス
オフィスとは、オフィスビルや複合ビルのオフィスフロアなどを示します。
- 都市にある大きなオフィスビル
- 郊外や地方の中小のオフィスビル
の2種類があります。
大きなオフィスビルには、超高層ビルや都市のランドマークとなるビルなどもあります。
都心にあり利便性も高く、入居者のステータスにもなるビルは、家賃も高く、高収益が見込めます。
一方で、郊外や地方にある中小オフィスに投資するJ-REITも数多くあります。
土地の価格が安い郊外は、取得価格に対する収益性の高さが魅力です。
中小オフィスは、バリューアップ等による資産価値向上も行いやすく、賃料アップや売却益も狙えます。
近年は、リモートワークの普及により、スモールオフィスの需要が高まっていますね。
物流施設
物流施設とは、物品を保管する倉庫を示します。
近年は、巣ごもり消費の拡大などにより、通信販売を利用する人が増えています。
これに伴い、大型の物流施設も増えてきました。
これらの施設は、物品の保管だけでは無く、仕分けや配送の拠点として利用されています。
さらに大型化した、複数の企業が同居する巨大物流パークなどもあります。
物流施設には、
- 法人が長期契約で利用するため、安定した賃料が得られる。
- 土地代が安い郊外にあり、内装も少なく、規模に対し投資額が小さい。
という特徴があります。
近年、投資規模が伸びており、最近上場したJ-REIT10銘柄中、4銘柄が物流特化型となっています。
商業施設
商業施設には、ブランド店舗や電気量販店、ショッピングモールなどがあります。
- 集客性の高い都市型
- 郊外にある住民密着型
の2種類にわかれます。
人が集まる都市型は、テナントの収益性も高く、高い家賃が見込めます。
その反面、商業施設の利用者は主に個人であり、景気に左右されやすいと言えます。
郊外にある住民密着型は、食料品や日用品を売っているスーパーマーケットなどです。
生活必需品がメインの店舗ですので、景気に左右されにくい特徴を持ちます。
収益性を取るか、安定性を取るかの違いですね。
住宅
現物の不動産投資は、一戸建てやアパート、マンションなどが多いと思います。
しかし、J-REITの主な投資先はマンションです。
- 単身者向け
- ファミリー向け
- 学生向け
- シニア向け
など様々なタイプがあります。
なお、住宅投資には、
- 居住用のため、急激な増減が少ない
- 入居者の属性が多岐にわたる
- 多数の入居者に分散利用されている
などの特徴があり、景気の変動を受けにくく、安定した賃料が得られます。
また、バリューアップなどによる資産価値の向上が図りやすい不動産と言えます。
ホテル
ホテルには、リゾートホテルやビジネスホテル、旅館などがあります。
旅行者による利用がメインとなるため、地域性や周囲の観光状況により、収益が変動します。
仕事利用の多いビジネスホテルは、比較的、変動要因が少ないと考えられますが、それでも景気の影響を受けます。
しかし、ホテルには
- 宿泊以外の付加価値を提供できる
- インバンド需要を取り込みやすい
などの特徴があり、需要がある場合の収益力は高いと言えます。
国内外で人の往来が回復すれば、大きな収益を上げる可能性があります。
その他の投資先
5種類の不動産以外には、どのような投資先があるのでしょうか。
病院や老人ホーム、工場、研究施設などのほか、土地のみに投資するJ-REITもあります。
2つの投資先を紹介します。
ヘルスケア
- 病院などの医療施設
- 老人ホームなどのシニア用施設
を示します。
日本は人口の高齢化が進んでいるため、今後、需要が高まると想定されています。
不動産としての契約者は法人、入居者は個人となるため、住居と商業施設の2面性を持つ投資先と言えます。
土地(底地)
J-REITは土地(底地)のみに投資する場合もあります。
土地は
- 管理が不要
- 価値が下がりにくい
などの特徴があり、資産としての安定性は高いと言えます。
その土地に立てられる不動産への投資にもつながりやすいく、資産拡大の可能性も高いと言えます。
まとめ
種別 | 入居者 | 利用者 | 物件規模 | 景気影響 |
---|---|---|---|---|
オフィス | 法人 | 入居者 | 大 | 中 |
物流施設 | 法人 | 法人 | 大 | 小 |
商業施設 | 法人 | 個人 | 中 | 小~中 |
住居 | 個人 | 入居者 | 小 | 小 |
ホテル | 法人 | 個人・法人 | 中 | 大 |
J-REITの投資する5種類の不動産とその特徴を解説しました。
J-REITの投資先を知ることで、その特徴が見えてきます。
様々な種類の不動産に投資するJ-REITを組み合わせることにより、リスク分散も可能です。
複数の種類に投資するJ-REITの場合は、保有不動産のポートフォリオを知り、特徴を見定めることが大切ですね。
以上、参考になれば幸いです。
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