J-REITは不動産に投資する上場投資信託です。
不動産を直接保有するよりも、手間がかからず、少額で分散投資が可能です。
また、株式より配当の平均利回りが高く、資産アセットの1つとして有望な投資先だと思います。
今後も有望な投資先なのでしょうか。
不動産投資は、株や債券と同じく古くからある伝統的な投資方法です。
世の中から不動産は無くならないので、経済活動が続く限り、収益を得ることは可能です。
でも、
- 日本の人口は減少している
- 物価上昇の影響は
- 社会の変化に対応できるか
など、将来どうなるかは不安ですよね。
J-REITは、様々な種類の不動産に投資しているので、変化に対し柔軟に対応できると思います。
今後想定される世の中の変化に対して、J-REITがどのように変化するのか、今後の見通しを考えてみました。
- 少子高齢化は新たな需要を創出
- 不動産は物価上昇に強い
- 海外需要や社会の変化にも対応
日本の人口動態
日本は少子高齢化が進み、人口が減少しています。
この傾向はこの先、数十年に渡り進み、人口形態が変化して行きます。
この状況において、J-REITはどのような影響を受けるのでしょうか。
人口減少
出典:平成27年度及び令和2年度版 国土交通省白書のデータをもとにグラフ作成
日本の人口は2008年にピークを迎え、その後は減少が続きます。
毎年6~10万人のペースで減り続け、2050年には1億人を切る予想です。
一方、世帯数のピークは2025年、減少率は人口より緩やかとなる想定されています。
人口減少で最も影響を受ける不動産は住宅ですが、世帯数との相関が高いので影響は緩やかだと思います。
なお、単身世帯が増加しますので、単身者をターゲットにした住宅を保有しているJ-REITは将来、有望ではないでしょうか。
少子高齢化
出典:平成27年度版 国土交通省白書のデータをもとにグラフ作成
日本は人口減少とともに少子高齢化も進んでいます。
生産年齢(15~64歳)の人口が減ることにより、オフィス需要が低下するかもしれません。
また、高齢者人口の増加により、ヘルスケア施設の増加が考えられます。
ヘルスケア施設を保有するJ-REITは数少ないですが、将来は需要が増えると思います。
物価や金融政策の影響
日本は長い間デフレ社会でしたが、今後は物価上昇が予想されています。
低金利政策も進められていますが、いずれは金利が上昇する局面も考えられます。
このような将来を考えた場合、J-REITの収益にどのような影響があるか考えてみます。
物価上昇
出典:国土交通省ウェブサイトの不動産物価指数データを元にグラフ作成
商業用不動産の価格は2012年頃から徐々に上昇してきました。
価格が上がると保有する不動産を売却することにより、利益を得ることができますので、J-REITには有利に働きます。
また、不動産価格の上昇に合わせて賃料を上げることにより、収益を改善することもできます。
賃料は契約更新のタイミングで改定されることが多く、契約期間の短い不動産ほど物価上昇に追随しやすため、
- 住宅、オフィスは有利
- 物流施設は不利
という構図になると思います。
なお、ホテルなど実績連動賃料の場合は、より柔軟に対応できるため、物価上昇に追随しやすい不動産と言えますね。
金利上昇
日本は長い間、ゼロ金利政策をとっています。
これ以上、下がることは考えにくく、将来的には金利が上がると思います。
金利が上昇すると
- 借入金の支払い利息が増える
- 新たな不動産を購入しにくくなる
- 預貯金との利回り格差が縮小する
など、J-REITには不利になることが多いです。
金利上昇が近いと予想される場合には、
- 借入比率の少ない
- 固定金利比率の高い
J-REITを選ぶと良いと思います。
海外からの需要
ここ数年、感染症対策のため海外との往来が制限されてきましたが、徐々に解除されてきました。
また、J-REITは証券であるため、海外投資家の需要を取り込むことが容易です。
海外需要が増えた場合の影響を見てみます。
インバンド需要
2020年3月以降、世界的な感染症の拡大により、人々の行動が制限されています。
しかし、感染症の影響が落ち着けば、また、人々は動き始めるでしょう。
2019年以前、日本は観光立国を目指し、多くのインバンド需要を取り込んできました。
この時期の状況にもどれば、ホテル需要の拡大が見込まれ、商業施設にも好影響を与えます。
海外投資家の需要
最近は円安傾向が続いています。
(2022年5月時点)
円安の場合、海外の投資家からみるとJ-REITは割安です。
海外からの投資が増えると、J-REITの価格が上昇し、証券としての価値が上がります。
また、時価総額が大きくなると、株価指数に組み込まれる可能性が高くなります。
世界的なMSCIやFTSEの株価指数に組み入れられると、連動するETFから資金が流入しますので、J-REIT価格上昇につながりますね。
社会の変化
感染症対策の影響もあり、人々の行動は大きく変化しました。
大きなところでは、リモートワークの普及、ネット通販の拡大ではないでしょうか。
それぞれ、J-REITの保有する不動産に与える影響を見てみます。
働き方改革
働き方改革とは、働く人々が、個々の事情に応じた多用で柔軟な働き方を、自分で選択でできるようにするための改革です。
2019年に働き方改革関連法案が施行されています。
大きな変化の1つはリモートワークが拡大、定着したことではないでしょうか。
これにより、大型オフィス需要の低下が見込まれています。
逆に郊外のスモールオフィスの需要が喚起される可能性も高く、ホテルを改装して対応するJ-REITも出てきています。
ネット通販の拡大
インターネットの発達により、eコマースと呼ばれるネット上での取引が増えました。
身近な所では、ネット通販の需要が増えており、多くの方が利用されていると思います。
ネット通販が増えると、
- 実店舗に行く人が減る
- 物流の需要が増える
ことになり、J-REITの不動産では、
- 商業施設の収益が下がる
- 物流施設の需要が上がる
という影響をもたらします。
J-REITの将来性
将来動向 | オフィス | 物流施設 | 商業施設 | 住 宅 | ホテル | ヘルスケア |
---|---|---|---|---|---|---|
日本の人口変化 | △ | 〇 | ||||
物価や金融政策 | 〇 | △ | 〇 | |||
海外からの需要 | 〇 | |||||
社会の変化 | △ | 〇 | △ |
日本の人口減少、少子高齢化は住宅需要が減らしますが、ヘルスケア施設などの新しい需要を喚起します。
物価や金融政策は、一時的に採算が悪化する場合もありますが、長期で見れば資産価値の向上が図れます。
海外からの需要が増えれば、J-REITの価値向上につながりますね。
社会の変化については、J-REITは不動産を柔軟に売買することができるため、変化に合わせて対応していくでしょう。
経済活動が続く限り、不動産が無くなることはありませんので、J-REITは長く投資できる資産だと思います。
以上、参考になれば幸いです。
J-REITの銘柄選びについて記事を書いています。
【J-REITの買い方】銘柄を比較するための7つの指標
投資には様々な手法がありますが、知っているだけで得することも多いです。
そんな、得するコツを集めた本がこちら。
実践するだけで利益を上げる方法から、時間を掛けずに投資情報を得る方法まで、様々なコツを紹介しています。