インフラファンドは再生可能エネルギー発電に投資する投資信託です。
現状は全てのファンドで太陽光発電に投資しています。
太陽光発電は固定価格買取制度(FIT)により、長期間、安定した収入が得られますので、投資対象としては優秀ですよね。
でも、固定価格買取制度(FIT)の対象となっている再生可能エネルギー発電は他にもあります。
- 太陽光発電
- 風力発電
- 水力発電
- 地熱発電
- バイオマス発電

太陽光発電以外に投資するインフラファンドは無いのでしょうか。
エネクス・インフラ投資法人は、スポンサーパイプラインに風力発電と水力発電設備を有しています。
これらの設備は太陽光では発電できない夜間や天気の悪い日でも発電が可能です。
発電時間が長くなれば、その分、収益も見込めますよね。
さらに、太陽光発電とは違う資産に分散することにより、天候リスクなども軽減できます。
投資主でもある筆者がエネクスインフラ投資法人について紹介します。
- 資産の70%は松坂太陽光発電所
- 投資主上位に証券会社
- 将来は風力や水力発電も視野
エネクスインフラ投資法人の基本情報
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
上場日 | 2019年2月13日 | |
決算月 | 5月、11月 | |
保有太陽光発電所数 | 8 | 第7位 |
パネル出力の合計 | 約140MW | 第3位 |
平均買取価格 | 33.6円 | 第7位 |
格付 | A | JCR |
スポンサー | 伊藤忠エネクス 三井住友信託銀行 マーキュリアイインベストメント マイオーラ・セットマネジメント |
(2021年11月23日時点)
エネクスインフラ投資法人は、保有する発電所の数が最も少ないインフラファンドです。
しかし、太陽光パネルの出力規模は、3番目に大きく少数精鋭の資産で運用されています。
分散の意味ではリスクが高いと言えますが、数が少ないことにより管理コストの削減につながります。
また、決算月はこれまで年1回(11月)でしたが、2022年以降は5月と11月の年2回に増えることになりました。
これは、投資主への還元効率が上がったと言えますね。
メインスポンサーは大手商社グループの伊藤忠エネクスとなっており、エネルギー事業について様々なサポートが期待できます。
上場来の投資口価格の推移は次の通りです。
(TradingView提供のチャート)
2021年11月23日時点で
- 投資口価格:94,700円
- 予想分配金利回り:6.34%
となっています。
投資口価格は、上場直後とコロナショックにより大きく上下しましたが、少しづつ安定に向かっているように見えますね。
エネクス・インフラ投資法人の概要と主要物件である「松坂太陽光発電所」の紹介動画はこちらです。
注:動画は2020年12月時点のものであり、各種情報が現在と異なる場合があります。
エネクスインフラ投資法人の特徴
少数精鋭の資産で運用するエネクス・インフラ投資法人ですが、どのような特徴があるのでしょうか。
主な特徴を見てみます。
ポートフォリオの70%は松坂発電所
エネクスインフラ投資法人は8か所の太陽光発電所を保有していますが、そのうちの70%は松坂太陽光発電所になります。
所在地は三重県松坂市で、日射量の期待できる太平洋側にあり、地震リスクも比較的低い場所になります。
国内屈指の大型太陽光発電所で、電力供給の要となるパワーコンディショナーを分散して配置するなど、災害にも考慮した設計となっています。
しかし、インフラファンドとしては、資産分散の度合いが低く、現状では、松坂太陽光発電所と一蓮托生と言えます。
賃料スキームは発電所により異なる
エネクスインフラ投資法人の賃料スキームは3種類あり、発電所毎に異なります。
上場時5物件の賃料スキームは、基本賃料がP50予想発電量(ー運用経費)となっており、最低保証が手厚くなっています。
この賃料スキームは日本再生可能エネルギー投資法人と同じであり、リスクが少なく安定した収益が見込めます。
一方、長崎琴海、松坂、新城の3物件は、基本賃料がP50予想発電量の90%に押さえられており、最低保証が低くなっています。
発電量が予想を超えた場合に得られる実績連動賃金の増加率も低く押さえられており、少し厳しい賃料スキームと言えます。
長崎琴海、松坂、新城の3発電所で、全体の70%以上を占めますので、全体としての賃料スキームも少し厳しめと言えますね。
投資主1位は楽天証券
No. | 投資主 | 投資口数の割合 |
---|---|---|
1 | 楽天証券株式会社 | 6.20% |
2 | 伊藤忠エネクス株式会社 | 2.30% |
3 | GOLDMAN SACHSBANK | 1.60% |
4 | 野村證券株式会社 | 1.50% |
5 | 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 1.30% |
6 | 株式会社福岡銀行 | 1.10% |
7 | SMBC日興証券株式会社 | 1.00% |
8 | マネックス証券株式会社 | 0.90% |
9 | 大和信用金庫 | 0.90% |
10 | 株式会社福邦銀行 | 0.80% |
投資主の上位10社の中に証券会社が4社入っています。
楽天証券や野村証券など大手の証券会社が主要投資主になっているということは、投資対象としての評価が高いということではないでしょうか。
特に楽天証券の投資口割合が高く、何か妙味があるかもしれませんね。
今後の動向、将来性
エネクスインフラ投資法人のスポンサーパイプラインは12物件、計121.8MWとなっています。
太陽光発電だけでは無く、風力や水力発電所もラインナップされています。
風力や水力発電の売電価格(買取価格)は、太陽光発電に比べ、若干、低い価格となっていますが、発電可能時間が長く、収益性は高くなる可能性があります。
特に水力発電は24時間発電することが可能ですので、収益性の高い発電設備と言えますね。
風力や水力発電を資産に加えることができれば、リスクが分散され、資産価値の高いポートフォリオを組むことができるのではないでしょうか。
以上、参考になれば幸いです。
2021年4月に取得した新城太陽光発電所について記事を書いています。
エネクスインフラ投資法人(9286)が手元資金で発電所を取得、増資との違い
エネクスと同じ大手商社がスポンサーであるジャパンインフラ投資法人の記事はこちらです。
【信用力が高い】ジャパンインフラファンド投資法人(9287)について