資産形成の王道は、インデックスファンドへの積立投資と言われています。
インデックスとは、市場全体の動きを表す指数を意味し、地域毎に様々な指数があります。
最も人気が高いのは米国株市場のインデックスですが、最近では全世界株のインデックスで投資する方も増えています。

米国株と全世界株どっちが良いのでしょうか。
米国は世界一の経済大国であり、これまで成長を続けてきました。
しかし、10年後、20年後に米国が世界一の経済大国でいるかは誰にもわかりません。
そうであれば、どの国の経済が成長しても取り込むことができる全世界株インデックスに投資する方がリスクは少ないという方もいます。
この疑問を解決するために、2022年4月から同一条件で米国株と全世界株のインデックスファンドに積立投資を始めてみました。
投資対象は
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)
の2つです。
インデックスファンドの積立投資は、米国株と全世界株のどちらが良いか、双方の違いや投資した結果を紹介します。
- 人気が高いのは米国株
- 全世界株は発展する国を選ばない
- 実際に投資した結果はオルカン
人気のインデックスファンド
日本で販売されている公募型の株式ファンド(投資信託)は、約5,800本あり、総資産額は約149兆円にのぼります。
その中で総資産額の56.7%がインデックス型ファンドとなっています。
(2023年1月末時点)
(投資信託協会の数字で見る投資信託より)
外国株のインデックスファンドで人気が高く、多くの資金を集めているものを見てみます。
順位 | インデックスファンド | 純資産額 |
---|---|---|
1 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 18,142億円 |
2 | eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー) | 9,109億円 |
3 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | 8,096億円 |
4 | SBI・V・S&P500インデックスファンド | 7,987億円 |
5 | ニッセイ外国株式インデックスファンド | 4,503億円 |
(2023年3月2日 Yahooファイナンス調べ)
1位と3位、4位に米国株のインデックスファンドが入っています。
米国株の人気の高さが伺えますね。
次に直近の資金流入状況を見てみます。
順位 | インデックスファンド | 資金流入(月次) |
---|---|---|
1 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 633億円 |
2 | eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー) | 427億円 |
3 | SBI・V・S&P500インデックスファンド | 260億円 |
4 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | 228億円 |
5 | たわらノーロード先進国株式 | 81億円 |
(2023年3月2日 Yahooファイナンス調べ)
全世界株のインデックスファンドが2位に入りました。
全世界株インデックスファンドの人気が上がってきていることを示しています。
インデックス投資の人気は、間違いなく、米国株と全世界株と言えますね。
米国株と全世界株インデックスの特徴
米国株と全世界株のインデックスには、それぞれ、どのような特徴があるのでしょうか。
それぞれの特徴を比べてみます。
- 米国は先進国で唯一の人口増加国
- 投資家の利益を守る法律が整っている
- 米国企業は世界中で事業を行うので全世界に投資しているのと変わらない
- 世界中に広く投資する究極の分散投資
- 米国の経済成長、新興国の将来性も全て取り込むことができる
- 将来、どの国の経済が発展しても投資比率が自動調整される
米国を信じるか、あらゆる国に対して広く構えるかの違いでしょうか。
S&P500インデックスファンド
S&P500は米国株市場全体を示すインデックスの1つです。
優良な米国の大企業500社を選定して投資することにより、時価総額で米国市場の約80%を網羅します。
S&P500の主な組み入れ銘柄とその比率は次の通りです。
順位 | 企業名 | 構成比率 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | APPLE INC | 6.7% | アップル |
2 | MICROSOFT CORP | 5.9% | マイクロソフト |
3 | AMAZON.COM INC | 3.3% | アマゾン |
4 | TESLA INC | 2.0% | テスラ |
5 | ALPHABET INC-CL A | 1.9% | グーグル |
(2022年4月28日時点)
(eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の交付目論見書より抜粋)
S&P500のインデックスファンドで人気を集めているのは
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- SBI・V・S&P500インデックスファンド
の2つです。
どちらも低コストで投資でき、2つ合わせた純資産額は2兆円を超えます。
全世界株式インデックスファンド
全世界株式インデックスは、地域毎の複数のインデックスで構成されています。
ですので、インデックスの組み合わせにより国や地域の構成比率が変わります。
人気のeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の国や地域の構成比率は次の通り。

(2022年3月末時点)
(eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の交付目論見書の値をグラフ化)
eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の構成比率は61%が米国となっていますね。
様々な構成の全世界株式インデックスファンドがありますが、人気の高いものは米国の比率が高くなっています。
次にeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の組み入れ銘柄を見てみます。
順位 | 企業名 | 構成比率 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | APPLE INC | 4.1% | アップル |
2 | MICROSOFT CORP | 3.2% | マイクロソフト |
3 | AMAZON.COM INC | 2.0% | アマゾン |
4 | TESLA INC | 1.2% | テスラ |
5 | ALPHABET INC-CL A | 1.1% | グーグル |
(2022年4月28日時点)
(eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の交付目論見書より抜粋)
構成比率は違いますが、全世界株の組入れ銘柄の上位5社はS&P500と同じです。
これは、米国企業は世界的にも大企業であり、影響力が大きく、全世界株インデックスでも米国株インデックスと似た動きをするということです。
なお、低コストで資産形成に適した全世界株式インデックスファンドには
- eMAXIS Slim全世界株式
- SBI・全世界株式インデックスファンド
- ニッセイ世界株式ファンド
などがあります。
私が同一条件で積立投資を行った結果
私は2022年4月25日から、
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)
の両方に同日、同額の積み立てを行っています。
積立月 | 積立金額 (ファンド毎に) | 備考 |
---|---|---|
2022年4月 | 500円 | 楽天ポイント |
2022年5月 | 25,000円 | 楽天カード積立 |
2022年6月 | 25,000円 | 楽天カード積立 |
2022年7月 | 25,000円 | 楽天カード積立 |
2022年7月 | 600円 | 楽天ポイント |
2022年8月 | 25,000円 | 楽天カード積立 |
2022年8月 | 25,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2022年9月 | 25,000円 | 楽天カード積立 |
2022年9月 | 25,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2022年10月 | 25,000円 | 楽天カード積立 |
2022年11月 | 25,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2022年12月 | 25,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2023年1月 | 25,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2023年2月 | 10,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
米国株と全世界株、長期で投資した場合どちらがよりリターンが得られるのか見て行きたいと思います。
4か月後の運用成績

積立投資から4か月後の運用成績です。
(2022年8月31日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に126,100円。
S&P500、オールカントリーともに3%以上の利益が出ていますが、eMAXIS Slim米国株式の方が0.8%高い利益となりました。
2022年5月~8月は
- 米国のFF金利が3回で計2%上昇
- ドルは130円前半から138円後半へ
- 米国で急激な物価上昇
など米国経済が大きく動きましたが、全世界株より米国株の方がより大きいリターンが出ています。
6か月後の運用成績

積立投資から約6か月後の運用成績です。
(2022年10月31日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に201,100円となりました。
運用成績はeMAXIS Slim米国株式の方が1.1%高い利益です。
差が開きましたね。
2022年9月~10月は
- 9月に米国のFF金利が0.75%UP
- ドルは138円後半から150円へ
- 8月に戻した米国株が再び下落
米国の経済減速が見え始めましたが、全世界株より米国株の方がより大きいリターンが出ています。
8か月後の運用成績

積立投資から約8か月後の運用成績です。
(2022年12月31日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に251,100円。
米国株の低迷と円高の影響でどちらも利益がマイナスになりましたが、下落率はオールカントリーの方が小さくなりました。
運用成績はeMAXIS Slim全世界株式の方が1.9%高い利益と言えます。
2022年11月~12月は
- 2か月で米国のFF金利が1.25%UP
- ドルは148円後半から131円台へ
- 日銀が事実上の利上げに方針転換
など、大きな変化がありました。
大きな変換期では広く分散されている全世界株式の方がリスクが少ないと言えますね。
10か月後の運用成績

積立投資から約10か月後の運用成績です。
(2023年2月28日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に286,100円。
米国株が上昇し円安に振れたため利益がプラスに回復しました。
2023年1月~2月は
- 米国のFF金利が0.25%UP
- ドルは131円付近から136円前半へ
- 日銀の新総裁が決定
などの変化がありました。
運用成績はeMAXIS Slim全世界株式の方が1.9%高く、2か月前と変わらない状況です。
オルカンの方がリターンが多い

私が10か月間投資した結果は、eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の方が利益が高くなりました。
しかし、投資期間が短く、米国株式(S&P500)との差はわずかです。
近年は、感染症の流行や紛争など、世界各地で経済に影響を与える様々なできごとが起こっています。
このような影響の中で、米国株と全世界株のどちらがより多くの利益をあげることができるのか。
これからも積立投資を続けて比較検証していきたいと思います。
以上、参考になれば幸いです。
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