資産形成の王道は、インデックスファンドへの積立投資と言われています。
インデックスとは、市場全体の動きを表す指数を意味し、地域毎に様々な指数があります。
最も人気が高いのは米国株市場のインデックスですが、最近では全世界株のインデックスで投資する方も増えています。
米国株と全世界株どっちが良いのでしょうか。
米国は世界一の経済大国であり、これまで成長を続けてきました。
しかし、10年後、20年後に米国が世界一の経済大国でいるかは誰にもわかりません。
そうであれば、どの国の経済が成長しても取り込むことができる全世界株インデックスに投資する方がリスクは少ないという方もいます。
この疑問を解決するために、2022年4月から同一条件で米国株と全世界株のインデックスファンドに積立投資を始めてみました。
投資対象は
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)
の2つです。
インデックスファンドの積立投資は、米国株と全世界株のどちらが良いか、双方の違いや投資した結果を紹介します。
- 人気が高いのは米国株
- 全世界株は発展する国を選ばない
- 実際の比較はオルカン→米国株へ
人気のインデックスファンド
日本で販売されている公募型の株式ファンド(投資信託)は、約5,800本あり、総資産額は約202兆円にのぼります。
その中で総資産額の60.3%がインデックス型ファンドとなっています。
(2024年月5月末時点)
(投資信託協会の数字で見る投資信託より)
外国株のインデックスファンドで人気が高く、多くの資金を集めているものを見てみます。
順位 | インデックスファンド | 純資産額 |
---|---|---|
1 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 52,393億円 |
2 | eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー) | 39,385億円 |
3 | SBI・V・S&P500インデックスファンド | 18,180億円 |
4 | 楽天・全米株式インデックス・ファンド | 16,632億円 |
5 | eMAXIS Slim先進国株式インデックス | 8,142億円 |
1位と3位、4位に米国株のインデックスファンドが入っています。
米国株の人気の高さが伺えますね。
次に直近の資金流入状況を見てみます。
順位 | インデックスファンド | 資金流入(月次) |
---|---|---|
1 | eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー) | 2,011億円 |
2 | eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 1,603億円 |
3 | SBI・V・S&P500インデックスファンド | 268億円 |
4 | 楽天・S&P500インデックス・ファンド | 242億円 |
5 | 楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド | 200億円 |
全世界株のインデックスファンドが1位と5位に入りました。
全世界株インデックスファンドの人気が上がってきていることを示しています。
インデックス投資の人気は、間違いなく、米国株と全世界株と言えますね。
米国株と全世界株インデックス特徴
米国株と全世界株のインデックスには、それぞれ、どのような特徴があるのでしょうか。
それぞれの特徴を比べてみます。
- 米国は先進国で唯一の人口増加国
- 投資家の利益を守る法律が整ってる
- 米国企業は世界中で事業を行うので全世界に投資しているのと同じ
- 世界中に投資する究極の分散投資
- 米国の経済成長、新興国の将来性も全て取り込むことができる
- 将来、どの国の経済が発展しても投資比率が自動調整される
米国を信じるか、あらゆる国に対して広く構えるかの違いでしょうか。
S&P500インデックスファンド
S&P500は米国株市場全体を示すインデックスの1つです。
優良な米国の大企業500社を選定して投資することにより、時価総額で米国市場の約80%を網羅します。
S&P500の主な組み入れ銘柄とその比率は次の通りです。
順位 | 企業名 | 構成比率 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | MICROSOFT CORP | 7.0% | マイクロソフト |
2 | APPLE INC | 7.0% | アップル |
3 | AMAZON.COM INC | 3.4% | アマゾン |
4 | NVIDIA CORP | 2.9% | NVIDIA |
5 | ALPHABET INC-CL A | 2.4% | グーグル |
S&P500のインデックスファンドで人気を集めているのは
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- SBI・V・S&P500インデックスファンド
の2つです。
どちらも低コストで投資でき、2つ合わせた純資産額は約3.7兆円になります。
全世界株式インデックスファンド
全世界株式インデックスは、地域毎の複数のインデックスで構成されています。
ですので、インデックスの組み合わせにより国や地域の構成比率が変わります。
人気のeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の国や地域の構成比率は次の通り。
(2023年9月末時点)
(eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の交付目論見書の値をグラフ化)
eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の構成比率は約61%が米国となっていますね。
様々な構成の全世界株式インデックスファンドがありますが、人気の高いものは米国の比率が高くなっています。
次にeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)の組み入れ銘柄を見てみます。
順位 | 企業名 | 構成比率 | 備考 |
---|---|---|---|
1 | APPLE INC | 4.5% | アップル |
2 | MICROSOFT CORP | 4.0% | マイクロソフト |
3 | AMAZON.COM INC | 2.1% | アマゾン |
4 | NVIDIA CORP | 1.7% | NVIDIA |
5 | ALPHABET INC-CL A | 1.5% | グーグル |
構成比率は違いますが、全世界株の組入れ銘柄の上位5社はS&P500と同じです。
これは、米国企業は世界的にも大企業であり、影響力が大きく、全世界株インデックスでも米国株インデックスと似た動きをするということです。
なお、低コストで資産形成に適した全世界株式インデックスファンドには
- eMAXIS Slim全世界株式
- SBI・全世界株式インデックスファンド
- ニッセイ世界株式ファンド
などがあります。
私が同一条件で積立投資した結果
私は2022年4月25日から、
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
- eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)
の両方に同日、同額の積み立てを行っています。
積立月 | 積立金額 (ファンド毎に) | 備考 |
---|---|---|
2022年4月 | 500円 | 楽天ポイント |
2022年5月 | 25,000円 | 楽天カード積立 |
2022年6月 | 25,000円 | 楽天カード積立 |
2022年7月 | 25,000円 | 楽天カード積立 |
2022年7月 | 600円 | 楽天ポイント |
2022年8月 | 50,000円 | 楽天カード+楽天キャッシュ |
2022年9月 | 50,000円 | 楽天カード+楽天キャッシュ |
2022年10月 | 50,000円 | 楽天カード+楽天キャッシュ |
2022年11月 | 25,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2022年12月 | 25,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2023年1月 | 25,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2023年2月 | 10,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2023年3月 | 10,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2023年4月 | 10,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2023年5月 | 10,000円 | 楽天キャッシュ積立 |
2023年10月 | 50,000円 | 楽天カード+楽天キャッシュ |
2023年11月 | 50,000円 | 楽天カード+楽天キャッシュ |
2023年12月 | 25,000円 | 楽天カード積立 |
2024年2月 | 10,000円 | 楽天カード積立 |
米国株と全世界株、長期で投資した場合どちらがよりリターンが得られるのか見て行きたいと思います。
4か月後の運用成績
積立投資から4か月後の運用成績です。
(2022年8月31日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に126,100円。
S&P500、オールカントリーともに3%以上の利益が出ていますが、eMAXIS Slim米国株式の方が0.8%高い利益となりました。
2022年5月~8月は
- 米国のFF金利が3回で計2%上昇
- ドルは130円前半から138円後半へ
- 米国で急激な物価上昇
など米国経済が大きく動きましたが、全世界株より米国株の方がより大きいリターンが出ています。
6か月後の運用成績
積立投資から約6か月後の運用成績です。
(2022年10月31日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に226,100円となりました。
運用成績はeMAXIS Slim米国株式の方が1.1%高い利益です。
差が開きましたね。
2022年9月~10月は
- 9月に米国のFF金利が0.75%UP
- ドルは138円後半から150円へ
- 8月に戻した米国株が再び下落
米国の経済減速が見え始めましたが、全世界株より米国株の方がより大きいリターンが出ています。
8か月後の運用成績
積立投資から約8か月後の運用成績です。
(2022年12月31日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に276,100円。
米国株の低迷と円高の影響でどちらも利益がマイナスになりましたが、下落率はオールカントリーの方が小さくなりました。
運用成績はeMAXIS Slim全世界株式の方が1.9%高い利益と言えます。
2022年11月~12月は
- 2か月で米国のFF金利が1.25%UP
- ドルは148円後半から131円台へ
- 日銀が事実上の利上げに方針転換
など、大きな変化がありました。
大きな変換期では広く分散されている全世界株式の方がリスクが少ないと言えますね。
10か月後の運用成績
積立投資から約10か月後の運用成績です。
(2023年2月28日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に311,100円。
米国株式(S&P500)は1.05%の含み益、オルカンは2.91%の含み益となりました。
2023年1月~2月は
- 米国のFF金利が0.25%UP
- ドルは131円付近から136円前半へ
- 日銀の新総裁が決定
などの変化がありましたね。
運用成績はeMAXIS Slim全世界株式の方が1.9%高く、2か月前と変わらない状況です。
1年後の運用成績
積立投資から約1年月後の運用成績です。
(2023年4月30日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に331,100円。
米国株式(S&P500)は3.82%の含み益、オルカンは5.36%の含み益となりました。
2023年3月~4月は
- 米国のFF金利が0.25%UP
- ドルは130円台に下がるが136円前半に戻る
- 日銀の新総裁が交代
などの変化があり、運用成績はeMAXIS Slim全世界株式の方が1.5%高い結果ですが、差が縮まっています。
米国株の上昇が大きかったということですね。
1年2か月後の運用成績
積立投資から約1年2か月後の運用成績です。
(2023年6月30日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に341,100円。
米国株式(S&P500)は18.31%の含み益、オルカンは17.65%の含み益です。
2023年5月~6月は
- 米国のFF金利が0.25%UP
- ドルは136円前半から144円後半へ
- 日銀はこれまでの金融緩和を継続
運用成績はeMAXIS Slim米国株式の方が0.7%高い結果となり、全世界株式を逆転しました。
米国のFF金利がピークに達し、利下げが視野に入ったため、米国株が大きく上昇しましたね。
1年4か月後の運用成績
積立投資から約1年4か月後の運用成績です。
(2023年9月3日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に341,100円。
米国株式(S&P500)は23.99%の含み益、オルカンは21.85%の含み益となりました。
2023年7月~8月は
- 米国のFF金利が0.25%UP
- ドルは144円後半から146円付近へ
- 日銀の長期金利目標が0.5%→1.0%へ
運用成績はeMAXIS Slim米国株式の方が1.1%高い結果となり、全世界株式との差を広げましたね。
米国のFF金利が上限に達したと判断され、米国株がさらに上昇しました。
1年6か月後の運用成績
積立投資から約1年6か月後の運用成績です。
(2023年11月4日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に391,100円。
米国株式(S&P500)は13.42%の含み益、オルカンは12.02%の含み益です。
2023年9月~10月は
- 米国のFF金利は据え置き
- ドルは146円から150円へ
- 日銀が長期金利目標1.0%超えを容認へ
などの変化がありましたね。
運用成績はeMAXIS Slim米国株式の方が1.4%高い結果となり、全世界株式との差が拡大。
9月からオルカンの信託報酬率が下がりましたが、効果はあまりないようです。
1年8か月後の運用成績
積立投資から約1年8か月後の運用成績です。
(2023年12月31日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に466,100円。
米国株式(S&P500)は20.60%の含み益、オルカンは19.18%の含み益となりました。
2023年11月~12月は
- 米国のFF金利は据え置き
- ドルは150円から141円へ
- 日銀の政策は据え置き
という状況です。
運用成績はeMAXIS Slim米国株式の方が1.4%高い結果となり、全世界株式との差は変わらず。
オルカンの信託報酬率引き下げは、特に効果はないようです。
1年10か月後の運用成績
積立投資から約1年10か月後の運用成績です。
(2024年2月29日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に476,100円。
米国株式(S&P500)は35.06%の含み益、オルカンは31.41%の含み益です。
2024年1月~2月は
- 米国のFF金利は据え置き
- ドルは141円から150円へ
- 日銀の政策は据え置き
という状況でした。
米国株の上昇と為替が円安に振れたため、利益が大幅に増えています。
運用成績はeMAXIS Slim米国株式の方が3.6%高い結果となり、全世界株式との差が開きました。
米国株の力強さが発揮されたのではないでしょうか。
2年後の運用成績
積立投資から約2年後の運用成績です。
(2024年4月30日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に476,100円。
米国株式(S&P500)は39.20%の含み益、オルカンは35.68%の含み益となりました。
2024年3月~4月は
- 米国のFF金利は据え置き
- ドルは150円から158円へ
- 日銀の政策は据え置き
という状況。
米国株は若干下がりましたが、為替が円安に振れたため、利益はさらに増えています。
運用成績はeMAXIS Slim米国株式の方が3.5%高い結果となり、全世界株式との差は横ばいです。
2年2か月後の運用成績
積立投資から2年2ヵ月後の運用成績です。
(2024年6月30日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に476,100円。
米国株式(S&P500)は56.68%の含み益、オルカンは49.73%の含み益となりました。
2024年5月~6月は
- 米国のFF金利は据え置き
- ドルは158円から161円へ
- 日銀の政策は据え置き
という状況。
S&P500は市場最高値を更新し、円安もさらに進んだため、利益が増えました。
運用成績はeMAXIS Slim米国株式の方が6.95%高い結果となり、全世界株式との差がさらに開いています。
2年4か月後の運用成績
積立投資から2年4ヵ月後の運用成績です。
(2024年8月31日時点)
積立額の合計は、それぞれの投資信託に476,100円。
米国株式(S&P500)は43.91%の含み益、オルカンは39.02%の含み益となりました。
2024年7月~8月は
- 米国のFF金利は据え置き
- ドルは161円から146円へ
- 日銀が金利を0.15%UP
という状況。
一気に円高が進み、利益が減ってしまいました。
運用成績はeMAXIS Slim米国株式の方が4.88%高い結果となり、全世界株式との差が縮まっています。
米国株がオルカンを逆転
私が2年間投資を続けた結果、利益が大きかったのは、
- 当初1年間:全世界株式(オルカン)
- その後:米国株式(S&P500)
です。
やはり、長期でみると米国株の方が利益が大きいように見えます。
先進国で唯一の人口増加国のパワーは大きいですね。
これからも積立投資を続けて比較検証していきたいと思います。
以上、参考になれば幸いです。
理論や実践をわかりやすく解説。
インデックス投資のことが良くわかる良書。
難しいことは考えずほったらかしでお金が増える方法がわかります。