「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「SBI・V・S&P500」はS&P500のインデックスファンドとして人気を2分しています。
どちらも信託報酬が低く、積み立て投資や長期投資に適した投資信託です。
2つ合わせて、1.5兆円以上の純資産額があります。(2022年4月時点)

では、どちらに投資したらよいのでしょうか。
と聞かれたら、迷いますよね。
2つとも、米国株式のS&P500指数に連動しますので、基本的な値動きは同じです。
隠れコストを含めた経費率もほとんど変わりません。
私も迷いましたので、2020年1月から両方を同じ条件で積み立て投資をしてみました。
意外にも経費率とは違う利回りの差が出ています。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「SBI・V・S&P500」の比較と2年以上、同じ条件で積み立て投資した結果をお伝えします。
- ファンドの仕組みに違いあり
- 経費率の差もわずか
- 2年間以上投資した結果はeMAXIS
インデックスファンドの仕組みの違い
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「SBI・V・S&P500」は、どちらも米国株式の指数であるS&P500に連動するファンドです。
でも、ファンドの仕組みは違います。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」はマザーファンドを通じて、米国株式を直接売買することにより、S&P500に連動させています。
いわゆるファミリーファンド方式と呼ばれるもので、複数のベビーファンドをマザーファンドに集めて資産額を大きくすることにより効率良く投資を行う仕組みです。
SBI・V・S&P500
「SBI・V・S&P500」はマザーファンドを通じて「バンガードS&P500 ETF」を購入することにより、S&P500に連動させています。
これはファンド・オブ・ファンズと呼ばれる仕組みです。
ファミリーファンド方式で集められた資金でETFに投資して間接的に米国株式を購入します。
マザーファンド方式に比べてETFを経由する分、手数料が増えるような気がしますよね。
しかし、「バンガードS&P500 ETF」は資産額がとても大きく、低コストで運用されています。
マザーファンドが直接株式を買うよりも運用コストを低減できる可能性があるのです。
運用コストの比較(信託報酬、経費率)
同じ指数に連動するインデックスファンドは基本的に同じ値動きをしますので、運用コストが少ない方が多くの利益を期待できます。
運用コストの違いは信託報酬や経費率を見て判断します。
信託報酬
信託報酬はファンドの販売会社、委託会社、受託会社に支払われる手数料で、投資額に対する比率が決められています。
信託報酬はファンドを保有している間、常に支払われる手数料で運用コストの大きなウエイトを占めます。
2つのファンドの信託報酬は次の通りです。
・SBI・V・S&P500
信託報酬=年0.0938%(税込)程度
※程度となっているのは信託報酬のうち「バンガードS&P500ETF」の経費が0.03%程度となっているため
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
信託報酬=年0.0968%(税込)
※ただし、ファンドの純資産総額に応じて、次の通り信託報酬が下がっていきます。
純資産総額 | 信託報酬(税込) |
---|---|
500億円未満の部分 | 年0.0968% |
500億円~1000億円の部分 | 年0.09625% |
1000億円以上の部分 | 年0.0957% |
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は純資産総額が増えるにしたがい信託報酬が下がる仕組みをとっていますが、それでも、若干「SBI・V・S&P500」が有利に見えます。
なお、インデックスファンドには監査費用や事務処理費用など、運用状況により変動する費用もあり、これらを含めた経費率の方が重要です。
経費率
経費率は各ファンドの運用報告書を見るとわかります。
・SBI・V・S&P500
経費率:0.10%
(期間:2020年9月15日~2021年9月14日)
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
経費率:0.12%
(期間:2020年4月28日~2021年4月26日)
経費率もほとんどかわりません。
では、実際に投資しても運用利回りに違いは無いのでしょうか。
私が同一条件で両方に1年以上積立投資を行った結果
私は2020年1月より「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「SBI・V・S&P500」の両方に同日、同額の積み立て投資を行っています。
1年後の運用成績
積立投資から1年後の運用結果はこんな感じです。
(2021年1月30日時点)
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の方が1,577円多く利益が出ています。
利回りにすると「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が約0.13%高い
ということになります。
これを見ると2020年1月以降の経費率は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の方が低くなっていると予想されます。
しかし、「SBI・V・S&P500」もまだファンドが設定されて間もないため、運用が安定してくると経費率が下がる可能性があります。
よって、まだ、どちらの運用コストが低いかは判断がむずかしいところです。
1年3か月後の運用成績
(2021年4月30日追記)
積立投資から1年3か月後の運用結果は次の通りです。
(2021年4月30日時点)
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の方が3,456円多く利益が出ています。
年間利回りで「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が約0.19%高い
ということになります。
利回りの差が広がりました。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は純資産総額が4,000億円を超える勢いです。
資産規模が大きくなり、効率的に運用できるようになったのではないかと思います。
1年半後の運用成績
(2021年7月31日追記)
1年半後の運用結果は次の通りです。
(2021年7月31日時点)
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の方が4,135円多く利益が出ています。
年間利回りで 「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」 の方が約0.16%高い
ということになります。
3か月前より、利回りの差が少し縮まりました。
純資産総額が2,500億円を超えてきた「SBI・V・S&P500」の運用効率も改善されてきたのではないでしょうか。
1年9か月後の運用成績
(2021年10月30日追記)
1年9か月後の運用結果は次の通りです。
(2021年10月30日時点)
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の方が5,283円多く利益が出ています。
年間利回りで 「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」 の方が約0.15%高い
ということになります。
さらに利回りの差が縮まりました。
販売開始から2年が経過した「SBI・V・S&P500」の運用が安定し、経費率以外の違いが無くなってきたのだと思います。
2年後の運用成績
(2022年1月31日追記)
2年後の運用結果は次の通りです。
(2022年1月31日時点)
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の方が5,331円多く利益が出ています。
年間利回りで 「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」 の方が約0.11%高い
ということになります。
前回より、さらに利回りの差が縮まりました。
最近は「SBI・V・S&P500」の方が運用成績が良いと言うことです。
これから購入する場合は「SBI・V・S&P500」の方が良いのかもしれません。
2年3か月後の運用成績
(2022年4月30日追記)
2年3か月後の運用結果は次の通りです。
(2022年4月30日時点)
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の方が7,800円多く利益が出ています。
年間利回りで 「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」 の方が約0.12%高い
ということになります。
利回りの差が少し広がりました。
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の運用成績が良かったようです。
eMAXIS Slimが少し優秀
「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「SBI・V・S&P500」は、その時々により、運用成績に少し違いが出るようです。
私が投資した結果は、「eMAXIS Slim 米国株式」の運用成績が良くなりました。
しかし、差は殆ど無く、どちらも低コストで優秀な投資信託です。
これからも投資を続けて資産を増やしていきたいと思います。
以上、参考になれば幸いです。
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