先進国株式インデックスファンドは、米国をメインとしつつ、20か国以上の先進国に分散投資するファンドです。
各社から多くのファンドが販売されており、10年以上運用されているものもあります。
販売競争も進み、信託報酬が低いファンドも多くなってきました。

米国株が人気ですが、1国集中はリスクが高いと思う方におすすめ。
先進国株式インデックスファンドは、米国に投資しながら、複数の国へ分散し、運用コストも安い、3拍子揃ったファンドです。

でも、多くのファンドが販売されているよ。どれに投資したら良いの?
インデックスファンドは、信託報酬の低いものを選ぶのが鉄則ですが、差がない場合もあります。
詳細なコストを比較をする場合は経費率も重要。
いろいろと迷いましたので、2021年4月から4つの先進国株式インデックスファンドに積み立て投資を始めました。
意外にも経費率の差と異なる運用益の違いが出ています。
投資歴8年の筆者が先進国株式インデックスファンドの違いと運用成績を紹介します。
・日本や小型株を含むかに違いあり
・総経費率はSBIが優秀
・1年6か月での利回りはeMAXIS
先進国株式インデックスファンド特徴
インデックスファンドは信託報酬の低いものを選ぶのが良いとされていますが、ほとんど差が無い場合もあります。
そのような場合にはファンドの詳細を確認しなければなりません。
一口に外国株式インデックスファンドといっても、連動するインデックスや運用方法など、細かな違いがあります。
本ブログ記事では信託報酬の低い4つのインデックスファンドを紹介します。
先進国株式インデックスファンド | 信託報酬 | 純総資産額 |
---|---|---|
SBI先進国株式インデックスファンド | 0.1022% | 約128億円 |
ニッセイ外国株式インデックスファンド | 0.1023% | 約4417億円 |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.1023% | 約3876億円 |
たわらノーロード先進国株式 | 0.1099% | 約2444億円 |
(2022年11月2日時点 楽天証券 投信スーパーサーチより)
SBI先進国株式インデックス

(引用元:SBI先進国株式インデックスファンド交付目論見書)
「SBI先進国株式」は、FTSEディベロップド・オールドキャップ・インデックスに連動をめざすファンドです。
FTSEは小型から大型株まで幅広く投資します。
投資対象となる先進国は次の通りです。
アメリカ | 日本 | イギリス | カナダ | フランス |
スイス | ドイツ | オーストラリア | 韓国 | スウェーデン |
オランダ | 香港 | イタリア | デンマーク | スペイン |
シンガポール | フィンランド | ベルギー | イスラエル | ノルウェー |
アイルランド | ニュージーランド | オーストリア | 中国 | ポルトガル |
アルゼンチン |
(赤字は後述するMSCIコクサイ・インデックスに含まれない国)
「SBI先進国株式」は、マザーファンドから、次の2つのETFに投資することにより、FTSEインデックスに連動させています。
- シュワブU.S.ブロードマーケットETF(SCHB)
- SPDRポートフォリオ・ディベロップド・ワールド(除く米国)ETF(SPDW)
SCHB | SPDW | |
---|---|---|
投資国 | 米国 | 先進国26か国 |
投資対象 | 大型・小型株 2500銘柄 | 組入銘柄数 2522 |
経費率 | 0.03% | 0.04% |
純資産総額 | 2.5兆円以上 | 1.5兆円以上 |
(2022年10月31日時点)
いわゆる、ファンド・オブ・ファンド(ETFなどを経由して株式を購入)と言う仕組みです。
なぜ、このような仕組みを使うかというと、資産規模の大きいETFは運用コスト(経費率)が非常に低くなります。
このため、マザーファンドが直接株式を購入するより全体の運用コストを下げられる可能性があるからです。
また、「SBI先進国株式」は純資産額に応じて信託報酬が下がる仕組みを持っています。
純総資産額 | 信託報酬(税込み) |
---|---|
500億円未満の部分 | 0.10220% |
500億円~1000億円 | 0.09912% |
1000億円以上の部分 | 0.09549% |
現在でも1番低い信託報酬ですが、資産額が増えるとさらに下がりますね。
ニッセイ外国株式インデックス

(引用元:ニッセイ外国株式インデックスファンド交付目論見書)
「ニッセイ外国株式」はMSCIコクサイ・インデックスに連動をするファンドです。
このインデックスは、中・大型株に投資し、各国市場の時価総額の約85%をカバーします。
投資対象となる先進国は次の22か国です。
アメリカ | イギリス | フランス | カナダ | ドイツ |
スイス | オーストラリア | オランダ | スウェーデン | 香港 |
イタリア | スペイン | デンマーク | シンガポール | フィンランド |
ベルギー | アイルランド | ノルウェー | イスラエル | ニュージーランド |
オーストリア | ポルトガル |
eMAXIS Slim 先進国株式

(引用元:eMAXIS Slim先進国株式インデックス交付目論見書)
「ニッセイ外国株式」と同じ、MSCIコクサイ・インデックスに連動をめざすファンドです。
違いは、純資産額に応じて信託報酬が下がる仕組みを持っていることです。
純総資産額 | 信託報酬(税込み) |
---|---|
500億円未満の部分 | 0.102300% |
500億円~1000億円 | 0.100595% |
1000億円以上の部分 | 0.098890% |
既に約3,876億円の純資産総額がありますので、実際の信託報酬は0.1023%より、低くなっています。
たわらノーロード先進国株式

(引用元:たわらノーロード先進国株式交付目論見書)
「ニッセイ外国株式」や「eMAXIS Slim」と同じMSCIコクサイ・インデックスに連動するファンドです。
投資銘柄の選定に
- 流動性基準
- アクティブウェイトコントロール
を取り入れており、他の2つのファンドと投資国の比率が少し異なります。
国・地域別組み入れ比率(上位5位)
先進国株式インデックスファンド | 米国 | イギリス | カナダ | フランス | スイス | 基準日 |
---|---|---|---|---|---|---|
ニッセイ外国株式インデックスファンド | 72.5% | 4.7% | 4.0% | 3.4% | 3.1% | 2022年5月末 |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 73.5% | 4.5% | 3.8% | 3.3% | 3.0% | 2022年3月末 |
たわらノーロード先進国株式 | 67.1% | 4.2% | 3.8% | 3.0% | 3.3% | 2022年4月末 |
たわらノーロード先進国株式は、米国比率を少し抑えたファンドですね。
先進国株式インデックスファンド比較
先進国株式インデックスファンドを選ぶ場合は、
- 国や地域の組み入れ比率
- 運用コスト(経費率)
を比較すると良いと思います。
なぜなら、国や地域の組み入れ比率はファンドの特徴を表し、運用コストは利益に影響を与えるからです。
国や地域別組み入れ比率
インデックスファンドの国・地域別組み入れ比率は、連動するインデックスにより異なります。
また、同じインデックスでも運用方法の違いにより、差が出る場合があります。
各先進国株式インデックスファンドの国・地域別組み入れ比率は次の通りです。
先進国株式インデックスファンド | 連動する インデックス | 米国 | 日本 | その他 先進国 |
---|---|---|---|---|
SBI先進国株式インデックスファンド | FTSE | 65.0% | 7.4% | 27.6% |
ニッセイ外国株式インデックスファンド | MSCI | 72.5% | 0% | 27.5% |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | MSCI | 73.5% | 0% | 26.5% |
たわらノーロード先進国株式 | MSCI | 67.1% | 0% | 32.9% |
(引用元:各インデックスファンドの交付目論見書より)
投資先に日本を含める場合には、「SBI先進国株式」一択です。
MSCIインデックスに連動するファンドでは、「たわらノーロード」の米国比率が少し低くくなっています。
運用コスト(総経費率)
インデックスファンドには、2つの運用コストがあります。
- 委託、販売、受託会社の報酬(信託報酬)
- 株式保管や監査費用など(その他費用)
2つを合わせた運用コスト(総経費率)はインデックスファンドの運用報告書により確認することができます。
先進国株式インデックスファンド | 総経費率 | 運用期間 |
---|---|---|
SBI先進国株式インデックスファンド | 0.11% | 2020年11月13日~2021年11月12日 |
ニッセイ外国株式インデックスファンド | 0.15% | 2020年11月21日~2021年11月22日 |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.13% | 2021年4月27日~2022年4月25日 |
たわらノーロード先進国株式 | 0.16% | 2020年10月13日~2021年10月12日 |
総経費率で見ると「SBI先進国株式」が最も運用コストの低いファンドとなります。
しかし、対象となる運用期間が異なりますので、厳密に比較するには注意が必要です。
先進国株式インデックスファンド成績
信託報酬の低い4つの先進国株式インデックスファンドの特徴や違いを見てきましたが、結局どのファンドが良いのでしょうか。
運用成績の良いファンドに投資したいですよね。
実際に積立投資を行い比較してみました。
- 積立開始:2021年4月20日
- 積立金額:毎月20日毎に1,000円
3か月後の運用成績
約3か月後、2021年7月31日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は4,000円(積立4回分)、約3か月間の運用利回りは+3.88%~+5.03%でした。
運用益が一番多いのは
・ニッセイ外国株式インデックスファンド
となりました。
しかし、「eMAXIS Slim」や「たわらノーロード」との差はほとんどありません。
「SBI先進国株式」の運用益に差が出たのは、日本の株価が伸び悩んだからではないでしょうか。
6か月後の運用成績
約6か月後、2021年10月30日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は7,000円(積立7回分)、約6か月間の運用利回りは+8.47%~+9.76%でした。
運用益が一番多いのは
- ニッセイ外国株式インデックスファンド
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
となりました。
「たわらノーロード」との差はほとんどありませんが、「SBI先進国株式」との差は開いています。
日本の株価が伸び悩んでいるのが原因ですね。
9か月後の運用成績
約9か月後、2022年1月31日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は10,000円(積立10回分)、約9か月間の運用利回りは-0.24%~+1.64%です。
運用益が一番多いのは
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
です。
「ニッセイ」や「たわらノーロード」との差はほとんどありませんが、「SBI先進国株式」との差は開いています。
世界的な株価調整局面で、全体的に利益が低下しましたが、日本株が入らない方が運用益は大きいようです。
1年後の運用成績
1年後、2022年4月30日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は13,000円(積立13回分)、約1年間の運用利回りは+4.86%~+6.85%でした。
運用益が一番多いのは
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
です。
「ニッセイ」や「たわらノーロード」との差はほとんどありませんが、「SBI先進国株式」との差はさらに開きました。
最近の円安基調を反映して利益が増えました、日本株は為替差益の恩恵を受けられませんので、SBIとの差が開いたのだと思います。
1年3か月後の運用成績
1年3か月後、2022年7月31日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は16,000円(積立16回分)、約1年3か月間の運用利回りは+7.44%~+9.51%(年利)でした。
運用益が一番多いのは
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
です。
「ニッセイ」や「たわらノーロード」との差はほとんどありませんが、「SBI先進国株式」との差は開くばかりです。
円安の恩恵を受けることができないSBI先進国株式は少し不利な状況ですね。
1年6か月後の運用成績
1年6か月後、2022年10月31日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は19,000円(積立19回分)、約1年6か月間の運用利回りは+7.86%~+10.3%(年利)でした。
運用益が一番多いのは
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
です。
「ニッセイ」や「たわらノーロード」との差はほとんどありませんが、「SBI先進国株式」との差はさらに開きましたね。
円安が大きく進みましたので、日本株にも投資するSBI先進国株式は不利な状況です。
eMAXIS Slimが僅差で優秀
- 日本を含めるならSBI外国株式
- 総経費率が少ないのはSBI
- 1年6か月間の運用益はeMAXIS
先進国株式インデックスファンドを選ぶ場合は、まず、日本を含めるかを決めると良いと思います。
日本を含めない場合は、今回紹介した3つのインデックスファンドの差はほとんどありません。
しかし、運用方法の違いにより、長期的には差が出るかもしれません。
引き続き、4つの先進国株式インデックスファンドに投資を行い検証して行きたいと思います。
以上、参考になれば幸いです。
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