先進国株式インデックスファンドは、米国をメインとしつつ、20か国以上の先進国に分散投資するファンドです。
各社から多くのファンドが販売されており、10年以上運用されているものもあります。
販売競争も進み、信託報酬が低いファンドも多くなってきました。

米国株が人気ですが、1国集中はリスクが高いと思う方におすすめ。
先進国株式インデックスファンドは、米国に投資しながら、複数の国へ分散し、運用コストも安い、3拍子揃ったファンドです。

でも、多くのファンドが販売されているよ。どれに投資したら良いの?
インデックスファンドは、信託報酬の低いものを選ぶのが鉄則ですが、差が無い場合もあります。
詳細なコストを比較をする場合は経費率も重要。
いろいろと迷いましたので、2021年4月から4つの先進国株式インデックスファンドに積み立て投資を始めました。
意外にも経費率の差と異なる運用益の違いが出ています。
投資歴9年の筆者が先進国株式インデックスファンドの違いと運用成績を紹介します。
・日本や小型株を含むかに違いあり
・総経費率はSBIが優秀
・2年間での利回りはeMAXIS Slim
先進国株式インデックスファンド特徴
インデックスファンドは信託報酬の低いものを選ぶのが良いとされていますが、ほとんど差が無い場合もあります。
そのような場合にはファンドの詳細を確認しなければなりません。
一口に外国株式インデックスファンドといっても、連動するインデックスや運用方法など、細かな違いがあります。
本ブログ記事では信託報酬の比率が低い4つのインデックスファンドを紹介します。
先進国株式インデックスファンド | 信託報酬率 | 純総資産額 |
---|---|---|
SBI先進国株式インデックスファンド | 0.1017% | 約191億円 |
ニッセイ外国株式インデックスファンド | 0.09889% | 約5678億円 |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.09889% | 約5442億円 |
たわらノーロード先進国株式 | 0.09889% | 約3854億円 |
(2023年10月16日時点)
(楽天証券 投信スーパーサーチより)
SBI先進国株式インデックス

(引用元:SBI先進国株式インデックスファンド交付目論見書)
SBI先進国株式は、FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックスに連動をめざすファンドです。
FTSEは小型から大型株まで幅広く投資します。
投資対象となる先進国は次の通りです。
アメリカ | 日本 | イギリス | カナダ | フランス |
スイス | オーストラリア | ドイツ | 韓国 | オランダ |
スウェーデン | デンマーク | 香港 | イタリア | スペイン |
シンガポール | ベルギー | フィンランド | ノルウェー | イスラエル |
アイルランド | ニュージーランド | オーストリア | ポルトガル | 中国 |
アルゼンチン |
(2023年2月3日時点 ステート・ストリートHPより)
(赤字は後述するMSCIコクサイ・インデックスに含まれない国)
SBI先進国株式は、マザーファンドから、次の2つのETFに投資することにより、FTSEインデックスに連動させています。
- シュワブU.S.ブロードマーケットETF(SCHB)
- SPDRポートフォリオ・ディベロップド・ワールド(除く米国)ETF(SPDW)
SCHB | SPDW | |
---|---|---|
投資国 | 米国 | 先進国26か国 |
投資対象 | 大型・小型株 2500銘柄 | 組入銘柄数 2543 |
経費率 | 0.03% | 0.04% |
純資産総額 | 2.5兆円以上 | 1.5兆円以上 |
(2023年2月1日時点)
いわゆる、ファンド・オブ・ファンド(ETFなどを経由して株式を購入)と言う仕組みです。
なぜ、このような仕組みを使うかというと、資産規模の大きいETFは運用コスト(経費率)が非常に低くなります。
このため、マザーファンドが直接株式を購入するより全体の運用コストを下げられる可能性があるからです。
また、SBI先進国株式は純資産額に応じて信託報酬率が下がる仕組みを持っています。
純総資産額 | 信託報酬率(税込み) |
---|---|
500億円未満の部分 | 0.10170% |
500億円~1000億円 | 0.09862% |
1000億円以上の部分 | 0.09499% |
たわらノーロードの信託報酬率は0.09889%となりましたが、純総資産額が増えてくるとSBIの方が低くなる可能性がありますね。
ニッセイ外国株式インデックス

(引用元:ニッセイ外国株式インデックスファンド交付目論見書)
ニッセイ外国株式はMSCIコクサイ・インデックスに連動をするファンドです。
このインデックスは、中・大型株に投資し、各国市場の時価総額の約85%をカバーします。
投資対象となる先進国は次の22か国です。
アメリカ | イギリス | カナダ | フランス | スイス |
オーストラリア | ドイツ | オランダ | スウェーデン | 香港 |
デンマーク | スペイン | イタリア | シンガポール | フィンランド |
ベルギー | イスラエル | ノルウェー | アイルランド | ポルトガル |
ニュージーランド | オーストラリア |
ニッセイ外国株式は、今回比較する4つの中で一番古く、2013年に設定されたインデックスファンドです。
そのため、今回の4つの中で、純総資産額が一番大きいファンドになっています。
eMAXIS Slim 先進国株式

(引用元:eMAXIS Slim先進国株式インデックス交付目論見書)
「ニッセイ外国株式」と同じ、MSCIコクサイ・インデックスに連動をめざすファンドです。
違いは、純資産額に応じて信託報酬率が下がる仕組みを持っていることです。
純総資産額 | 信託報酬率(税込み) |
---|---|
500億円未満の部分 | 0.102300% |
500億円~1000億円 | 0.100595% |
1000億円以上の部分 | 0.098890% |
また、2023年5月11日より、下記の通り、総純資産額の区分と信託報酬率が変わりました。
純総資産額 | 信託報酬率(税込み) |
---|---|
5000億円未満の部分 | 0.09889% |
5000億円~1兆円未満 | 0.09823% |
1000億円以上の部分 | 0.09757% |
たわらノーロード先進国株式に追ずいして、信託報酬率を引き下げた形です。
純総資産額が5,000億円を超えましたので、信託報酬率は0.09889%より低くなりましたね。
(2023年10月16日時点で約5,442億円)
たわらノーロード先進国株式

(引用元:たわらノーロード先進国株式交付目論見書)
ニッセイ外国株式やeMAXIS Slim先進国株式と同じMSCIコクサイ・インデックスに連動をめざすファンドです。
しかし、投資銘柄の選定に
- 流動性基準
- アクティブウェイトコントロール
を取り入れており、他の2つのファンドと投資国の比率が少し異なります。
国・地域別組み入れ比率(上位5位)
先進国株式インデックスファンド | 米国 | イギリス | カナダ | フランス | スイス | 基準日 |
---|---|---|---|---|---|---|
ニッセイ外国株式インデックスファンド | 72.5% | 4.7% | 4.0% | 3.4% | 3.1% | 2022年5月末 |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 73.5% | 4.5% | 3.8% | 3.3% | 3.0% | 2022年3月末 |
たわらノーロード先進国株式 | 67.1% | 4.2% | 3.8% | 3.0% | 3.3% | 2022年4月末 |
たわらノーロード先進国株式は、米国比率を少し抑えたファンドと言えます。
先進国株式インデックスファンド比較
先進国株式インデックスファンドを選ぶ場合は、
- 国や地域の組み入れ比率
- 運用コスト(経費率)
を比較すると良いと思います。
なぜなら、国や地域の組み入れ比率はファンドの特徴を表し、運用コストは利益に影響を与えるからです。
国や地域別組み入れ比率
インデックスファンドの国・地域別組み入れ比率は、連動するインデックスにより異なります。
また、同じインデックスでも運用方法の違いにより、差が出る場合があります。
各先進国株式インデックスファンドの国・地域別組み入れ比率は次の通りです。
先進国株式インデックスファンド | 連動する インデックス | 米国 | 日本 | その他 先進国 |
---|---|---|---|---|
SBI先進国株式インデックスファンド | FTSE | 65.0% | 7.4% | 27.6% |
ニッセイ外国株式インデックスファンド | MSCI | 72.5% | 0% | 27.5% |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | MSCI | 73.5% | 0% | 26.5% |
たわらノーロード先進国株式 | MSCI | 67.1% | 0% | 32.9% |
(引用元:各ファンドの交付目論見書より)
投資先に日本を含める場合には、SBI先進国株式一択ですね。
MSCIインデックスに連動するファンドでは、たわらノーロード先進国株式の米国比率が少し低くくなっています。
運用コスト(総経費率)
インデックスファンドには、2つの運用コストがあります。
- 委託、販売、受託会社の報酬(信託報酬)
- 株式保管や監査費用など(その他費用)
2つを合わせた運用コスト(総経費率)はインデックスファンドの運用報告書により確認することができます。
先進国株式インデックスファンド | 総経費率 | 運用期間 |
---|---|---|
SBI先進国株式インデックスファンド | 0.11% | 2021年11月13日~2022年11月14日 |
ニッセイ外国株式インデックスファンド | 0.13% | 2021年11月23日~2022年11月21日 |
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 0.12% | 2022年4月26日~2023年4月25日 |
たわらノーロード先進国株式 | 0.14% | 2021年10月13日~2022年10月12日 |
総経費率で見ると「SBI先進国株式」が最も運用コストの低いファンドとなります。
しかし、たわらノーロード先進国株式は2023年4月7日に、eMAXIS Slim 先進国株式は2023年5月11日に、それぞれ信託報酬率を下げました。
今後は総経費率も下がると思います。
先進国株式インデックスファンド成績
信託報酬の低い4つの先進国株式インデックスファンドの特徴や違いを見てきましたが、結局どのファンドが良いのでしょうか。
運用成績の良いファンドに投資したいですよね。
実際に積立投資を行い比較してみました。
- 積立開始:2021年4月20日
- 積立金額:毎月20日毎に1,000円
3か月後の運用成績
約3か月後、2021年7月31日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は4,000円(積立4回分)、積立額に対して+3.9%~+5.03%の利益となりました。
利益が一番多いのは
・ニッセイ外国株式インデックスファンド
です。
でも、「eMAXIS Slim」や「たわらノーロード」との差はほとんどありません。
「SBI先進国株式」の利益に差が出たのは、日本の株価が伸び悩んだからではないでしょうか。
6か月後の運用成績
約6か月後、2021年10月30日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は7,000円(積立7回分)、積立額に対して+8.48%~+9.77%の利益となりました。
利益が一番多いのは
- ニッセイ外国株式インデックスファンド
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
の2つです。
「たわらノーロード」との差はほとんどありませんが、「SBI先進国株式」との差は開いています。
日本の株価が伸び悩んでいるのが原因ですね。
9か月後の運用成績
約9か月後、2022年1月31日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は10,000円(積立10回分)、積立額に対してー0.24%~+1.64%の利益となりました。
利益が一番多いのは
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
です。
「ニッセイ」や「たわらノーロード」との差はほとんどありませんが、「SBI先進国株式」との差は開きました。
世界的な株価調整局面で、全体的に利益が低下しましたが、日本株が入らない方が運用益は大きいようです。
1年後の運用成績
1年後、2022年4月30日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は13,000円(積立13回分)、積立額に対して+4.87%~+6.85%の利益となりました。
利益が一番多いのは
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
です。
「ニッセイ」や「たわらノーロード」との差はほとんどありませんが、「SBI先進国株式」との差はさらに開きました。
最近の円安基調を反映して利益が増えました、日本株は為替差益の恩恵を受けられませんので、SBIとの差が開いたのだと思います。
1年3か月後の運用成績
1年3か月後、2022年7月31日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は16,000円(積立16回分)、積立額に対して+5.81%~+7.43%の利益となりました。
利益が一番多いのは
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
です。
「ニッセイ」や「たわらノーロード」との差はほとんどありませんが、「SBI先進国株式」との差は少し縮まりました。
SBI先進国株式は唯一日本株を含みますので、為替の状況により利益が変わりますね。
1年6か月後の運用成績
1年6か月後、2022年10月31日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は19,000円(積立19回分)、積立額に対して+6.21%~+8.13%の利益となりました。
利益が一番多いのは
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
です。
「ニッセイ」や「たわらノーロード」との差はほとんどありませんが、「SBI先進国株式」との差はさらに開きましたね。
円安が大きく進みましたので、日本株にも投資するSBI先進国株式は不利な状況です。
1年9か月後の運用成績
1年9か月後、2023年1月31日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は22,000円(積立22回分)、積立額に対して+4.84%~+5.5%の利益となりました。
利益が一番多いのは
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
です。
4銘柄ともほとんど差が無くなりました。
この3か月間は「SBI先進国株式」のパフォーマンスが良かったことになります。
日本、中国、韓国などの株価が上昇した影響と考えられます。
2年後の運用成績
2年後、2023年4月30日時点での運用成績は次の通りです。

投資金額は25,000円(積立25回分)、積立額に対して+8.26%~+9.71%の利益となりました。
利益が一番多いのは
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス
です。
「ニッセイ」や「たわらノーロード」との差はほとんどありませんが、「SBI先進国株式」との差はまた開きましたね。
2023年1月末に1ドル129円付近でしたが、4月末には136円を超えました。
円安が進むと「SBI先進国株式」は不利になります。
eMAXIS Slimが僅差で優秀
- 日本を含めるならSBI外国株式
- 総経費率が少ないのはSBI
- この2年間での利益はeMAXIS Slim
先進国株式インデックスファンドを選ぶ場合は、まず、日本を含めるかを決めると良いと思います。
日本を含めない場合は、今回紹介した3つのインデックスファンドの差はほとんどありません。
しかし、信託報酬率の引き下げ競争が始まり、今後の成績には差が出るかもしれません。
以上、参考になれば幸いです。
2024年から、いよいよ、新NISAが始まりますね。
投資枠の考え方や投資対象など、旧NISAとは異なるため、新たな戦略が必要です。
今のうちにしっかり勉強して新NISAに備えましょう!
