【太陽光発電】固定価格買取制度(FIT)の買取価格と今後の動向について

固定価格買取制度の買取価格と将来動向 インフラファンド

※当記事はプロモーションを含みます。

固定価格買取制度(FIT)は発電した電気を固定価格で買い取ることを国が保証する制度です。

太陽光発電投資の収益はこの固定価格買取制度(FIT)よって支えられていると言っても過言ではありません。

平成24年にスタートしたこの制度も、年々買取価格が下がり続けており、新しく認定を受ける発電所は、以前のような高単価は見込めなくなりました。

ひろに
ひろに

新しい太陽光発電所に投資しても収益は上がらないのでしょうか。

実は2022年度より、FIT制度に加えてFIP制度が始まります。

FIP制度は、FITのような固定価格での買取では無く、市場価格に一定のプレミアムを載せて買い取る制度です。

FIP制度により事業者は、市場価格が高い次期や時間帯に売電をシフトさせて、収益を拡大することができるようになります。

インフラファンドによる太陽光発電投資を3年以上続ける筆者が、固定価格買取制度の現状と来年度から始まるFIP制度について、わかりやすく解説します。

①FIT制度の対象は5つの再生可能エネルギー
②最近の買取価格は入札で決定
③2022年度より市場連動型のFIP制度スタート

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固定価格買取制度(FIT)とは

固定価格買取制度(FIT)の仕組み

(引用元:資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギーのHPより(リンク))

固定買取価格制度(FIT)とは、再生可能エネルギーで発電した電気を固定価格で一定期間買い取ることを電力会社に義務付ける制度です。

「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(リンク)で定められており、平成24年7月1日からスタートしました。

再生可能エネルギーを普及させるためにできた制度です。

固定価格買取制度(FIT)により、一定期間、安定した利益が見込めますので、発電所の建設コスト等の回収が容易になります。

再生可能エネルギーにはどんなものがあるのでしょうか。

対象となる再生可能エネルギー

対象となる再生可能エネルギーは

  • 太陽光
  • 風力
  • 水力
  • 地熱
  • バイオマス

の5つです。

制度の適用を受けるためには、発電設備の認定を受ける必要があります。

また、平成29年度に法律が改正され、事業計画の認定も必要となりました。

これは、設備の信頼性に加えて発電所の運用を継続的に行えることが重要になってきたからです。

なお、発電した電気は全量が買取対象になりますが、住宅や工場などの屋根に載せるような50kW未満の太陽光発電は、自分で消費した後の余剰分が買取対象となります。

2021年度の買取価格と買取期間

2021年度に認定を受けた場合の電気の買取価格(1kWhあたり)は次の通りです。

太陽光発電

太陽光発電
発電出力買取価格買取期間
10kW未満19円10年
10~50kW未満12円20年
50~250kW未満11円20年
250kW以上入札(11円以下)20年

太陽光発電は5つの再生可能エネルギーの中では1番安い買取価格になっています。

これは、太陽光発電が他の再生可能エネルギーに比べ、普及したことを意味します。

普及拡大に伴い建設コストなども低下していますので、まだまだ、採算は合うのではないでしょうか。


風力発電

発電方式買取価格買取期間
浮体式洋上風力36円20年
着床式洋上風力32円20年
陸上風力(リプレース)15円20年
陸上風力(250kW未満)17円20年
陸上風力(250kW以上)入札20年

風力発電は、風の強い沿岸部や丘陵地域などで見かけることが多くなりました。

洋上風力は今後、普及をめざす発電方式と位置付けられており買取価格が高く設定されています。

長崎県や秋田県、千葉県などが推進区域にしてされ、事業が進められています。


水力発電

発電出力買取価格買取期間
200kW未満34円20年
200~1000kW未満29円20年
1000~5000kW未満27円20年
5000~30000kW未満20円20年

水力発電(導水路活用型)

発電出力買取価格買取期間
200kW未満25円20年
200~1000kW未満21円20年
1000~5000kW未満15円20年
5000~30000kW未満12円20年

既設導水路活用型とは、既にある農業用水などの導水路を利用して発電する方式です。

水利用者などとの調整があり建設に時間が掛かります。

なお、水力発電の固定価格買取制度(FIT)は発電出力が30,000kW未満までとなっており、中小水力が対象です。


地熱発電

発電出力15,000kW未満

用途買取価格買取期間
リプレース以外40円15年
リプレース(全設備更新型)30円15年
リプレース(地下設備流用型)19円15年

発電出力15,000kW以上

用途買取価格買取期間
リプレース以外40円15年
リプレース(全設備更新型)30円15年
リプレース(地下設備流用型)19円15年

地熱発電は地下深くから取り出した熱水や水蒸気を活用して発電する方式です。

建設時のコストは高いが、発電コストは安いという特徴があります。

そのため、他の再生可能エネルギーに比べ買取期間が短く、買取価格は高めに設定されています。


バイオマス

発電方式買取価格買取期間
メタン発酵ガス(バイオマス由来)39円20年
間伐材由来の木質バイオマス32円,40円20年
一般木質バイオマス・農産物の収穫
に伴って生じるバイオマス個体燃料
24円,入札20年
農作物の収穫に伴って生じる
バイオマス液体燃料
入札20年
建設資材廃棄物13円20年
廃棄物・他のバイオマス17円20年

バイオマスは自然の力を活用するというより、廃棄物のリサイクルという要素が大きいのではないでしょうか。

メタン発酵ガスには下水汚泥・家畜糞尿・食品残さ由来のものがあります。

他の再生可能エネルギーと比べ発電する燃料の継続的な確保という課題があります。

発電所の運転開始期限

FIT認定を受けた発電所は、一定の期限内に運転開始日を開始しなければなりません。

運転開始期限を超過した場合は、超過分(月単位)の買取期間が短縮されます。

運転開始期限

種類運転開始期限環境影評価を行った場合
太陽光3年+2年
風力4年+4年
中小水力7年ーー
地熱4年+4年
バイオマス4年ーー

※10KW未満の太陽光は1年を過ぎると認定失効

固定価格買取制度(FIT)は再生可能エネルギーを普及させることを目的としています。

これは、何を始めるにしても、最初はコストが掛かるので、助成しようと言う考え方です。

普及が進めば、設備の量産効果などによりコストが下がります。

つまり、発電所を後から作れば安く作れると言うことになります。

このため、買取単価の高い時にFIT認定を受けて、発電所の建設を遅らせる事業者が出てきました。

しかしこれは、再生可能エネルギーの普及の趣旨に合わないため、運転開始期限が定められました。

なお、中小水力発電は、FIT認定後に行う、手続きや土木工事、設備工事などに時間がかかるため期限が長く設定されています。

太陽光発電における固定価格買取制度の価格推移

太陽光発電における固定価格買取制度(FIT)の買取価格は、2011年度に40円(出力10kW以上)から始まりました。

2021年度は11~12円(出力10kW以上)となっています。

発電出力別の買取価格の推移は次の通りです。

発電出力2000kW以上500~2000kW250~500kW50~250kW10~50kW10kW未満
大規模メガソーラー
(インフラファンドなど)
産業用(中規模)工場・ビルなど住宅用
2012年度40円34円,40円
2013年度36円31円,38円
2014年度32円30円,37円
2015年度27円,29円27~35円
2016年度24円25~33円
2017年度入札(~21円)21円25~30円
2018年度入札(~15.5円)18円25~28円
2019年度入札(~14円)14円24円,26円
2020年度入札(~13円)12円13円21円
2021年度入札(~11円)11円12円19円
買取期間20年10年

(引用元:資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギーのHPの記載をもとに作成(リンク))

表の通り、年度ごと、発電出力の大きいものから順次、買取価格が下がっています。

なお、買取価格を抑えるため、2017年度より入札制度が導入されました。

入札結果は公開されており、「一般社団法人 低炭素投資促進機構」のHPで見ることができます。(リンク

入札には、カナディアンソーラーや日本再生可能エネルギーなどのインフラ投資法人に関連する会社も参加していることがわかります。

インフラファンドが将来取得を予定している太陽光発電設備を見る上で参考になると思います。

FIT制度からFIP制度へ

FIT制度からFIP制度へ

(引用元:資源エネルギー庁 再生可能エネルギー固定価格買取制度等 ガイドブック 2021年度版(リンク))

2022年度からFIT制度に加えてFIP制度が導入されます。

  • FIT制度:価格が一定で収入はいつ発電しても同じ
  • FIP制度:補助額(プレミアム)が一定で市場価格に連動

今後はFIT制度の適用が縮小され、FIP制度に移行される方向です。

FIP制度の概要

これまでの固定買取価格制度(FIT)は、いつ発電しても売電価格は一定でした。

FIP制度は

  • 再生可能エネルギーを電力取引市場へ誘導する
  • 電気の需要と供給のバランスを取る

ことを目的としています。

発電した電気を電力取引市場などで売買するため、常に価格が変動します。

そして、補助金となるプレミアム単価が設定され、電気の供給量に応じて支給されます。

プレミアム単価は時間帯により金額が変わると予想され、需要が高い時間帯に電気を供給するように促します。

太陽光発電の場合は、晴れた日の正午付近が最も発電量が増えますが、電気の需要が高い時間帯は一般的に日没前後の夕方です。

これからは、蓄電池などを活用して、電気の供給時間帯をシフトすることが求められています。

つまり、再生可能エネルギーは自然状況に任せて発電する時代から、需要に合わせて電気の供給をコントロールする時代に入ったと言えます。

2022年度のFIP制度導入について

2022年度からは風力発電以外で一定規模以上のものはFIP制度のみの認定になります。

また出力50kW以上のものはFIT制度とFIP制度の選択となり、既にFIT制度で認定を受けた事業者もFIP制度への移行が可能となります。

発電出力別のFIT・FIP制度の適用(2022年度)

再生可能エネルギー1000kW以上50~1000kW50kW未満
太陽光FITFIT or FIPFIP
風力FITFIT or FIPFIT or FIP
中小水力FITFIT or FIPFIP
地熱FITFIT or FIPFIP
バイオマス(注)FITFIT or FIPFIP

注:液体燃料を使用する50kW以上のバイオマスは全てFIP制度が適用される

まとめ

太陽光発電等の収益に直結する固定買取価格制度(FIT)の動向と2022年度に始まるFIP制度について解説しました。

①FIT制度は再生可能エネルギ-(5種類)の普及を目的にした制度
②FIT価格は低下しており、最近は入札で価格決定
③2022年度からFIP制度が導入され、自然に任せて発電する時代から電気の供給をコントロールする時代へ

固定買取価格制度(FIT)の買取価格は低下していますが、このまま無くなるのではなく、新しい制度に移行します。

この制度変更にいち早く対応した事業者は、FIP制度の恩恵に預かることができると思います。

太陽光発電に投資する場合には、このような制度変更に対応しているかを見極めることも大切かと思います。

以上、参考になれば幸いです。




なお、固定価格買取制度(FIT)の認定を受けた太陽光発電所は投資用として多数売買されています。

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