インフラファンドの所有する太陽光発電所は固定価格買取制度(FIT)により電気の買取価格が保証されています。
しかし、固定価格買取制度は20年間限定となっており、20年後インフラファンドの利益が下がると言われています。
この他にも借入金の返済完了や減価償却後のタイミングで利益や分配金が大きく変化する可能性があります。

インフラファンドの将来はどうなるのでしょうか。
借入金や固定価格買取制度、減価償却などの情報をもとに、10年後、20年後の利益について考察してみました。
②20年後に固定価格買取制度(FIT)が終了(利益減)
③20年後以降は順次減価償却が完了(分配金減)
借入金の返済完了(利益増)・・・10年後
インフラファンドは投資家から集めた資本金と借入金で太陽光発電所を購入します。
借入金の借入期間は多くのインフラファンドで10年となっており、10年後に借入金の返済が完了します。
借入金の返済が完了すると返済金やその利息の支払いが無くなるため利益が増えます。
太陽光発電所の購入資金の約半分は借入金のため、返済完了後に大きく利益が増えると予想されます。
なお、「カナディアン・ソーラーインフラ投資法人」と「エネクスインフラ投資法人」は、借入金の返済期間は他と異なっていますので注意が必要です。
・カナディアン・ソーラー:10年間(当初)→3年間(最近)
・エネクス:17年~18年間
固定価格買取制度(FIT)の終了(利益減)・・・20年後
インフラファンドが所有する太陽光発電所の売電収入は固定価格買取制度(FIT)により、買取価格が保証されています。
この制度は太陽光発電所の運用開始から20年間限定の制度のため、20年以降は固定価格から市場価格に変更されると想定されます。
電力の取引を行う市場には日本卸電力取引所(JEPX)があり、2019年度の取引価格推移は次の通りです。
(出典:JEPX(社団法人 日本卸電力取引所)のスポット市場取引結果(2019年度)をもとにグラフ化)(リンク)
2019年度の平均取引価格は約7.9円/kWhとなっています。
インフラファンドの電気の買取価格は40円/kWh~21円/kWhですので、市場の取引価格はその半分以下となります。
このため、20年後に固定価格買取制度(FIT)が終了した太陽光発電所の売電収入は大きく低下すると予想されます。
減価償却の完了(分配金減)・・・20年後以降
インフラファンドの多くは太陽光発電設備の減価償却費を原資として利益超過分配金を出しています。
減価償却は毎年行われますが、減価償却期間はインフラファンドにより異なります。
直近の資産運用報告書に記載された有形固定資産(機械及び装置、太陽光発電設備)の減価償却期間は次の通りです。
番号 | インフラファンド | 減価償却期間 |
---|---|---|
1 | タカラレーベン・インフラ投資法人 | 21年~25年 |
2 | いちごグリーンインフラ投資法人 | 16.8年~18.8年 |
3 | 日本再生可能エネルギーインフラ投資法人 | 5年~25年 |
4 | カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 | 22年~25年 |
5 | 東京インフラ・エネルギー投資法人 | 20.6年~23.3年 |
6 | エネクス・インフラ投資法人 | 15.5年~24.3年 |
7 | ジャパン・インフラファンド投資法人 | 6年~23年 |
早めに減価償却が完了するインフラファンドもありますが、20年後以降に順次減価償却が完了するものと思われます。
減価償却が完了すると利益超過分配金の原資がなくなりますので分配金が減ることが予想されます。
まとめ
- 10年後に借入金の返済が完了し利益増
- 20年後に固定価格買取制度(FIT)が終了し利益減
- 20年後以降は順次減価償却が完了し分配金減
となります。
なお、各インフラファンドは毎年のように太陽光発電所を購入し資産を増やしています。
購入時期の分散により収益の増減リスクが軽減されるため、急に分配金が無くなるようなことはないと思います。
しかしながら、固定価格買取制度(FIT)の買取価格も年々下がっていますので、インフラファンドへの投資は今後10~15年が目途と思います。
以上、参考になれば幸いです。
インフラファンドの将来性について個別銘柄の比較も記事にしています。
【インフラファンドの今後】7銘柄の今後の利益を3つの視点で比較
日本で早期リタイヤを実現するためのノウハウが詰まっています。
